目視検査

目視検査とは

目視検査とは、人間がルーペなどの簡単な観察器具を使って目視で観察し、品質の問題が無いことを確認する検査です。

目視検査はほとんどの場合、大掛かりな機械・装置を必要とせず、検査をする人の経験や能力に依存するアナログ的な検査です。おおよそ全ての産業において製品やサービスを提供するために、作業の流れの中に組み入れられている検査方法です。

例えば、半導体産業におけるLSIやウエハー、フォトマスクの製造では、クリンルーム内の暗室にて集光ランプを使った目視検査が行われています。経験を積んだ検査員は数ミクロン程度の大きさの欠陥や異物を見つけ出し、問題のある材料を工程に投入させず、歩留まりの向上と品質トラブルの防止に努めています。

一方、多数の顧客を乗せて飛ぶ航空機の機長は、飛行前に必ず整備を終えた機体の周囲を目視で点検して周り、問題が無いことを最終確認し、それを記録に残します。

目視検査は最も古くからある検査方法でありながら、製品やサービスの品質を保つうえで最も重要な検査方法の一つです。

目視検査の使用用途

一般的に製造業における目視検査は、材料・部品を仕入れた時、ある工程から次の工程に中間製品を引き継ぐ時、そして出来上がった製品を出荷する直前に取り入れられています。

仕入れた部品や材料を工程に流す前に行う検査を受入検査と言います。受入検査では、部品・材料に添付される検査票を確認する作業もありますが、検査票に不合格と記載された製品が出荷されることは通常はありません。多くの場合、開封した部品・材料を目視で検査することが事実上の工程の始まりになります。

工場における製品の製造では、ある一定の進捗ごとに工程を区切り、前工程から後工程に中間製品を受け渡す際に検査を行います。製品に問題が発生した場合、その製品をできるだけ速やかに発見し、後工程に送らないことが大切です。工程間検査は前工程の作業内容に対して行う検査であるため、機械を使った検査が行われる割合が高い検査です。それでも必要に応じて目視検査が行われています。

工場から完成した製品を出荷する直前に行われるのが出荷 (前) 検査です。出荷検査では、製品によって全数検査か抜き取り検査の違いはありますが目視検査が行われます。どのような製品であっても一目でわかる欠陥のある製品を出荷することは、その会社にとって大きなダメージとなるため、出荷時の目視検査は欠かすことができません。

目視検査の原理

ここでは科学技術が進歩し、様々な検査装置が考案・実用化されてきた現在においても目視検査が重要視される理由について記述します。

目視検査は検査結果を数値として現すことが難しい検査ですが、検査項目にとらわれずに、発見したあらゆる問題に対応することが可能です。一方で検査装置では、欠陥や異物を発見する装置、寸法を測定する装置、光の透過率と反射率を測定する装置など、検査項目を定めた上で設計製造されています。画像診断技術や人工知能が発達しても、予想されなかった問題を発見する点においては未だに目視検査が優れています。

また、検査装置は対象物の検査範囲を定めた上で検査を行います。検査範囲の外側で問題が発生していても検査せず、報告を上げることはありません。

BtoBのビジネスにおいては、顧客側の会社が、部品や材料の供給元の会社を対象に、品質監査を実施することがあります。製造工程の要所要所に目視検査を組み入れている会社は、品質問題に対する真摯な取り組みを感じさせます。それによって品質管理の面で、顧客の信頼を得ることができます。

目視検査の種類

日常的に目視検査が行われている製造やサービスの事例には、以下のようなものがあります。

半導体産業など数十億円を超える高額の装置を出荷する際には、製造会社の工場に、購入する側の会社の社員が出向いて、出荷了承検査が行われます。この検査では、予め両者間で定められた検収試験項目に基づいた、検収試験が行われています。それと同時に購入者側の社員による目視検査も行われて、最後は自分の目で確認する作業が実施されます。

建築現場では、対象とする建築物が大きく、建築物が出来上がった後での分解検査が難しいので、建築の段階ごとに目視検査と確認が行われます。例えば、柱の鉄筋の組み上げが終了してコンクリートを打ち込む前には、規定通りに鉄筋が使われているかを目視で検査します。また、完成した建物に雨漏りやひび割れが発生していないかを目視にて検査します。

自動車整備工場では自動車の受け入れ時と返却時に、レンタカー会社は自動車の貸し出し時と返却時に、顧客立会いの下で対象となる自動車の外観検査を実施します。これによって自動車の受け渡し時に、顧客との間でトラブルが発生するのを防いでいます。

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