冷凍車とは
冷凍車 (別名: 保冷車) とは、荷室に冷凍機が備えられているため、温度を下げることができるトラックのことです。
同じような機能を持つ保冷車は、荷室が断熱構造となっており、温度を一時的に保つことができるトラックのことを指します。冷凍車は、1958年に開発されたものが国内初で、米軍基地からミルクやアイスクリーム等の食品輸送の要請を受けたことで開発されました。
冷凍車の技術は進化を続けており、現代ではコンピューター制御された冷凍機を搭載することで、より正確な温度管理ができるようになりました。また、燃費効率の良いハイブリットシステムを採用した冷凍車も開発され、環境に配慮した輸送にも貢献しています。
冷凍車の使用用途
冷凍車は、保管する温度により中温車と低温車に分けられ、スーパーやコンビニ、飲食店などへ、食品などを運搬する際に使用されます。中温冷凍車は-5℃前後で保管するため生鮮食品等の輸送に使用され、低温冷凍車は-15℃以下で保管できるため、アイスクリームや冷凍食品等の輸送に最適です。
そのほか、冷凍車は生体組織や血液製剤などの輸送にも利用され、様々な業界で活躍しています。一方で、保冷車は温度管理が厳しくない荷物や配送時間が短い生鮮食料や給食、お弁当などの食品等の輸送に用いられます。
冷凍車の構造
一般的な冷凍車における冷却装置は、基本的な構造は乗用車のクーラーと同じで、主に5つの要素で構成されています。
1. コンプレッサー
エンジンの動力を利用し、冷媒を圧縮しガス状にしてコンデンサーに圧送します。
2. コンデンサー
コンプレッサーから送られてきた高温・高圧ガスを外気で冷却することで液化させ、膨張弁へ送られます。
3. 膨張弁
コンデンサーから送られてきた高圧な液状冷媒を減圧し、霧状にしてエバポレーターへ送ります。
4. エバポレーター
膨張弁から送られてきた霧状の冷媒液を気化させて周囲の熱を奪い、ファンで強制的に循環させます。
5. コントロールパネル
冷凍庫の中の温度調節を行うための装置で、冷凍庫の温度管理を運転席で行えます。また、冷凍車は、内部の温度を一定に保つために断熱材が使用されます。
ポリウレタンフォームやポリスチレンフォームなどの断熱材が壁や天井、床に取り付けられているのが一般的です。これにより、外部の温度変化から内部を保護し、冷気の漏れを最小限に抑えることができます。
冷凍車の種類
冷凍車は、冷凍方式の違いにより機械式、液体窒素式、蓄冷式の3つに分類されます。
1. 機械式
エアコンのようにエンジンの力を使う方式で、温度を細かく調整できるため積み荷を最適な温度に保つことができます。冷凍車の多くはこの方式です。
2. 液体窒素式
冷却剤としてよく使用される液体窒素を使う方式で、マイナス40度まで温度を下げることができます。短時間で一気に冷やす必要がある荷物の場合に適しています。
3. 蓄冷式
電力で冷凍機の冷却板を冷やす方式で、配送で使用していないときに荷室の冷凍板を凍結させ、荷物を積んで配送するときに凍結された冷凍板からの冷気により荷室内の温度を保ちます。
冷凍車の選び方
1. 積載量
積載量が足りないと、輸送回数が多くなり燃料費や人件費が増えるうえ作業効率が悪くなります。反対に標準積載量より大幅に少ない状態で輸送した場合、燃料代などが必要以上にかかってしまいます。冷凍車を購入する際は、日常的な積載量に合わせて選ぶことが重要です。
2. 冷却装置の方式
機械式の冷凍車の場合、エンジンの動力を利用したエンジン直結式と、冷凍庫専用のエンジンを搭載したサブエンジン方式のどちらを選ぶのかが、1つのポイントになります。
それぞれの特徴として、エンジン直結式は冷却装置が軽量なことから燃料の節約などができ経済的ですが、エンジンを停止してしまうと冷却できません。
サブエンジン方式は、エンジンを停止中でも冷却が可能で、専用のエンジンを使用しているため高い冷却能力を発揮します。ただし、2つのエンジンを搭載しているため重量が重くなり、燃費が悪くなります。
冷凍車を選ぶ際は、使用目的を十分に考慮し、サブエンジンが必要か検討することが大切です。
3. 移動距離と庫内温度
冷凍車は運搬する距離と荷物の種類により、適したタイプが異なります。キンキンに冷えた状態にする必要のない荷物がメインであれば、冷凍と冷蔵が切り替えられるタイプを選ぶ必要はありません。また、運搬する距離が長い場合は、休憩中でも冷却可能なサブエンジン方式の車種など、省エネで長時間冷却できるタイプを検討する必要があります。
凍車を購入する場合は、運搬距離と庫内温度を考慮し、適切なタイプを選ぶことが重要です。