ブラストマシンとは
ブラストマシンとは、物質に研磨剤を高圧・高速で吹き付けることにより、表面状態や組成を変化させる機械のことです。
ブラスト (噴射する) という意味から、ブラスターとも呼ばれます。研磨剤の種類によっては、サンドブラストやアルミナブラストなどが存在し、噴射構造によっては、エアーブラストやショットブラストといった名称で区別されます。
自動車や飛行機部品の加工において、精密な仕上げや表面改質が求められる場合に利用されます。建築物の強度向上にも寄与し、耐久性の向上が期待できます。さらに、半導体の製造過程でも、接着の下処理として重要な役割を果たしている機械です。
ブラストマシンの使用用途
ブラストマシンは、主に3つの目的で活用されています。
1. 表面粗さの向上
滑り止め処理や塗装の下地処理が可能です。滑り止め処理は、歩行者が滑らないように床面を荒らすことで安全性を高めるのに役立ちます。
また、塗装の下地処理では、表面を荒らすことで塗料の密着性が向上し、耐久性が増します。
2. 剛性の向上
旅客機ボディの強度向上や陸上競技の砲丸玉に活用されています。旅客機ボディでは、ブラスト処理により金属表面の応力を緩和させ、疲労強度の向上を実現可能です。
陸上競技の砲丸玉では、表面を硬化させることで剛性が増し、競技者の投擲性能が向上します。
3. 物質表面の清浄度の向上
具体的には、錆落としや切削後のバリ取り、酸化被膜の除去などが行われます。製品の寿命が延びるだけでなく、美観も向上し、品質の維持が図られます。
ブラストマシンの原理
ブラストマシンは、粉状の物質を圧縮空気や羽根車で高速噴射し、金属や樹脂などの表面に凹凸をつける機械です。圧縮空気で噴射するものをエアーブラスト、羽根車で噴射するものをショットブラストと呼びます。
ブラストマシンは、大型のものから小型のものまでさまざまなサイズがあり、ロボット等と組み合わせて無人でブラストを行ったり、研磨剤を吸引するノズルを使用したりします。研磨剤の種類、吹き付ける強さ、ノズルや距離によって多様な表面状態にすることが可能です。
一般的な研磨剤には、アルミナ、砂、石、亜鉛粒、鉄などがあります。角のある研磨剤を吹き付けると、表面に凹凸を作り、摩擦のある面を作ることが可能です。また、球状の研磨剤を吹き付けることで、金属を締める効果があります。刃物の鍛造と同じ原理で、ブラストした金属の硬度を高められます。
さらに、壊れやすい研磨剤を低速で吹き付けることで、表面粗さをほぼ変化させずに表面を研掃することが可能です。錆落とし、活性面の露出、切削加工後のバリ取りに利用されます。
ブラストマシンの種類
ブラストマシンは、表面処理の技術として幅広く利用されており、その種類も多岐にわたります。主にエアーブラストマシン、ショットブラストマシン、ウェットブラストマシンの3種類が存在します。
1. エアーブラストマシン
エアーブラストマシンは、コンプレッサで作られた圧縮空気を使用して、研磨剤を高速で噴射するタイプのブラストマシンです。手軽でコストパフォーマンスが高く、広範囲の表面処理が可能です。一方で、研磨剤の回収や粉塵の対策が必要になります。
2. ショットブラストマシン
ショットブラストマシンは、モーターを接続した羽根車によって研磨剤を高速で噴射するタイプのブラストマシンです。主に大型の金属製品や建築資材の表面処理に適しており、高い効率で作業ができます。また、研磨剤の回収が容易で、粉塵の発生も抑えられます。
3. ウェットブラストマシン
ウェットブラストマシンは、水と研磨剤を混合したスラリーを噴射するタイプのブラストマシンです。水によって研磨剤の衝撃力が緩和されるため、繊細な表面処理が可能で、微細な仕上げが求められる部品に適しています。また、粉塵の発生が抑えられ、環境負荷も低いのが特徴です。