ビュレット

ビュレットとは

ビュレット

ビュレットとは、コックで操作しながら液体を少量ずつ滴下することで、滴下した液体の体積をはかることができるガラス器具です。

目盛りが刻まれた細い筒状のガラス管下部に取り外し可能なコックが付いており、そのコックを回すことで分量を調整しながらガラス管の中へ入れた液体を滴下し、ビュレットの前後の目盛りの変化量を読み取って使用します。

ピペットも同様に滴下した液体の体積を測ることができる道具ですが、ビュレットは垂直に立てて使用できるため、目盛りをより精密に読み取ることが出来ますし、コックで細かく液量を調整することができます。さらに、コックを用いて正確に滴下量を制御する事ができるため、中和滴定のような正確な液量測定が必要とされる実験に適しています。

ビュレットの模式図

図1. ビュレットの模式図

ビュレットの使用用途

ビュレットは、主に中和滴定などに用いられます。 中和滴定とは容量分析の一種であり、濃度が分かっている標準溶液と、濃度が不明であるが標準溶液の濃度に比例して反応する溶液を用いて、濃度不明の溶液の濃度を求めます。

中和反応の判断、所謂終点は滴下後の混合液の呈色変化によって決まります。コックの操作にはある程度の熟練が必要ですが、オートビュレットという自動操作が可能なものもあり、食品や医薬品、化学メーカーの品質管理に使用されています。

ビュレットの特徴

ビュレットには、白色と褐色のものが存在します。これは他のガラス器具と同様、光によって反応を起こす物質があるため、標準溶液に溶解した物質の種類によって選択する必要があります。例えば、硝酸銀は感光性を有するため遮光下で使用する必要があり、これを滴定液として用いる場合は褐色のビュレットを用いる必要があります。

また、前述のとおり、ビュレットはコック操作に慣れることが大切です。ビュレットから液体を滴下するスピードが早いと、終点より多めに標準溶液を入れてしまう恐れがあるため、適当なスピードで滴下できるようにコック操作を行うことが重要です。 なお、コック部分にグリスを塗ってメンテナンスをする必要があり、メンテナンスが不十分だと液体が漏れる等の注意点があります。

さらに、先端が欠けてしまうと正確な体積を測ることができないため、丁重に取り扱わなくてはなりません。先端に傷が付くだけでも1滴あたりの体積が変化することが実験により知られています。その他にも、ビュレット内の残液の体積によって残着量が変化することも分かっているため、必ず目盛りの一番上である0点から使用するのが望ましいです。

ビュレットはガラス器具であるため、加熱・冷却を繰り返すと変形し、その測定量の正確性が損なわれます。そのため、洗浄後の加熱乾燥は避け、室温で乾燥する必要があります。同様の理由から、ビュレット内に入れる滴定液についても、一般的には室温程度の一定温度の液体を用います。なお、滴定液の温度については、ビュレットの膨張と変形の原因となるだけではなく、滴定液の体積が温度依存的である事にも注意が必要です。このような理由からも、正確な液量測定のためは、滴定液は一定温度のものを用いる必要があります。

ビュレットのその他情報

1. ビュレットを共洗いする理由

共洗いとは、量りたい溶液(中に入れる溶液)を用いて、ビュレットやホールピペットなどの側容器具(液体の体積を量る器具)を洗うことです。

側容器具は、器具の変形による体積の変化を避けるために、通常、乾燥機などによる加熱乾燥を行いません。水道水で洗った後、蒸留水で洗浄し、使用直前に量りたい溶液を用いて洗います。

共洗いをするのは、器具の内面が水で濡れていると、試料溶液の濃度が低下するからです。一方、試料となる溶液自体で濡れている場合は、溶液を入れても濃度は変化しません。

ビュレットは、滴定の際、濃度が不明な溶液を入れるので、ビュレット内で溶液の濃度が変わってしまうと、正確な濃度を求めることができなくなります。

また、一度使った器具をもう一度使用するときに共洗いをすると、乾燥させることなく、続けて使うことができます。

まず、1/5程度の溶液を入れ、ビュレットを横にして回しながら、内壁を洗います。次に、コック(活栓)を回して溶液を先端から出し、コックより下の部分の内壁を洗って、残りの液を上部から捨てます。この操作を、数回繰り返します。 

2. ビュレットの使い方

ビュレットをビュレット台に垂直に固定して、活栓が閉まっていることを確認します。

漏斗を使って、ガラス管の上部から溶液を注ぎこみます。この時、漏斗の上部から溶液が溢れないように、空気を逃すための隙間を漏斗とビュレットの上部の間に開けておきます。また、溶液が目に入る危険があるため、目より下の位置で注ぎます。溶液を注ぎ終えたら、漏斗を取り外します。

下にビーカーなどを置いて活栓を開き、溶液を勢いよく流して、活栓より下の部分の空気を完全に追い出します。活栓より上の部分に気泡がある場合には、これも取り除きます。

空気を追い出した後、目盛を読み、記録します。この時、視線とビュレットが垂直になるようにして、”メニスカス“の底(下端)を読みます。メニスカスとは、細い管に入れた液体の表面が、表面張力によって曲面になることを指し、液体が管壁を濡らす場合はへこみます。また、目盛は、最小目盛の1/10まで、目測で読みます。

ビュレットの目盛りの読み方

図2. ビュレットの目盛りの読み方

活栓を回して、滴下を始めます。片手でビュレットを持ち、活栓が抜けないようにビュレット本体の方にひきつけながら操作します。

滴定を終えたら、目盛を読み、滴下量を出します。

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