コーナーキューブとは
コーナーキューブ (英: Corner cubes) とは、入射した光を再帰反射させ、入射方向へ戻す機能を持つ装置です。
反射した像は反転しています。入射角0°の場合のみ再帰反射性を持つミラーとは異なり、コーナーキューブの再帰反射性は入射角が大きい場合でも有効です。この特長を活かして、光軸調整の困難な作業や作業時間を短縮したい場合などに頻繁に利用されます。
コーナーキューブの反射面は3面あります。一般的に光の全反射現象が得られる許容最大入射角は、理論上5.7°までです。
コーナーキューブの使用用途
レーザを使った測長機のリフレクター (反射鏡) として使用されています。月と地球の距離を測定するために開発され、アポロ宇宙船が月に着陸した際に月面に設置されました。
身の周りにも同じ性質を利用したものが多く存在します。自転車の後部に付いている赤い反射板や、道路上・道路脇に設置されている反射板 (オレンジあるいは無色) にも、非常に小さなリフレクターが多数集積されています。最近ではより小型になったシール型も販売されており、多種多様な場所でコーナーキューブを利用可能です。
また、車両や道路に取り付けられたコーナーキューブには、プラスチック製が多く、高い精度のコーナーキューブは測量に利用可能です。ガラス製のキューブが多く、レーザー光を当てて戻る時間から長さを測定できます。
コーナーキューブの原理
コーナーキューブの3つの面は、互いに直交する関係で設置されます。その3つの面をそれぞれxy面・yz面・zx面とします。例えばxy面で光が反射されるとき、光の進行方向を示す3次元ベクトル成分のうちz成分のみ符号が反転し、x成分・y成分は変化しません。同様にyz面のときはx成分が、zx面のときはy成分の符号が反転します。
この性質により3つの面で順次反射され、入射する方向ベクトルが [a, b, c] の光線は、反転すると [-a, -b, -c] です。つまり、来た方向へ光を返します。入射した光が反転する順番の組み合わせは全部で6通りあり、光線が入射する位置によって決まり、結果的に反射する順番に関係なく全成分の符号が反転します。
コーナーキューブの種類
レーダーから放射されたマイクロ波を、レーダーアンテナの方向へ反射する装置をレーダーコーナーリフレクター (英: Radar corner reflectors) と呼びます。導電性メタルシートやスクリーン3枚を90°で貼り合わせて、前方から入射する電波を平行に反射させます。ただし入射した波長よりも、反射面が大きくなければ機能しません。
コーナーキューブの原理を応用して、リバーサルミラー (英: Reversal mirror) が作られています。リバーサルミラーとは、直角に組み合わせた鏡2枚のことです。一般的な鏡では左右が逆転して見えますが、リバーサルミラーでは左右を保ったままです。
コーナーキューブの構造
コーナーキューブには、ホロー型とプリズム型の2種類あります。両方とも3つ面での反射を利用する基本的な構造は同じです。
観測局と人工衛星の相対速度によって生じる「光行差」によって、正確な直交度を持つリフレクタよりも直交度を少しずらした方が有効です。実際に使用されている人工衛星のリフレクタの多くは、直行度を意図的にずらしています。
コーナーキューブリフレクタ (英: Corner Cube Reflector) 、キューブコーナー (英: Cube corners) 、コーナーリフレクター (英: Corner reflector) はコーナーキューブの別称です。反射原理によっては、コーナーキューブプリズム (英: Corner Cube Prism) やコーナーキューブミラー (英: Corner Cube Mirror) とも呼ばれます。
参考文献
https://www.global-optosigma.com/jp/Catalogs/pno/?from=page&pnoname=CCB&ccode=W3126&dcode=
https://geo.science.hit-u.ac.jp/research/minilec-ccr/
https://www.chuo.co.jp/contents/hp0098/list.php?CNo=98&ProCon=3285