受託測定とは
受託測定とは、顧客が自社製品などの様々な特性を評価するための各種測定を外部に委託した測定の事です。自社にて最新測定器や最新技術を保持することなく、専門家に依頼できることから利用する企業が増えています。
受託測定の使用用途
受託測定の分野は多岐にわたります。例えば、誘電率や透磁率といった電気的特性の測定や、物品の厚さ測定、CTなどによる外形の測定、電子顕微鏡などによる表面形状の測定などです。
中でも、近年、表面化学の分野における測定の需要が大きく伸びています。表面化学は、実に様々な分野で応用されており、例えば固体表面の濡れ性や曇り度合いの測定や、粒子を含んだ液体の分散性の評価などに使用されています。
具体的には、固体表面であれば、ガラスやレンズの曇り具合や、撥水加工の水のはじき具合の測定、粒子の分散性であればインクやペーストのほか、バイオ製剤の粒子の分散性などを測定しています。
受託測定の原理
ここでは、撥水・防水剤を開発している場合を想定して解説します。
撥水・防水剤をスプレーなどとして製品化するのであれば、溶液中における成分の分散の度合いや安定性を評価する必要があります。また、撥水・防水剤を用いて加工した被加工物の水に対する濡れ角度や泥などに対する濡れ角度の評価も撥水・防水性を評価する上で必要です。さらに、撥水・防水加工をガラスやプラスチックシールドに施した場合の防曇性なども評価したい項目です。
これらの性能は表面化学を得意とする企業に受託測定を依頼することが好ましく、該当する企業を探す必要があります。測定を専門にしている企業であるため、ノウハウも多く持っており、顧客が考えている方法以外の提案も期待できます。
また、データの加工方法も顧客が見たい結果に合わせて加工が可能です。受託測定をおこなう企業では、顧客が自社にて評価するよりも、幅広い視野で顧客のニーズ合わせた測定方法を提案し、かつ結果を顧客が知りたいポイントに合わせた結果の加工が可能です。
受託測定のその他情報
1. そのほかの試験
表面化学の分野の受託測定を得意としている企業では、表面張力に関する測定や摩擦に関する測定、粘着物の粘着性を測定する引張試験なども請け負っています。
2.JIS規格など
この記事で挙げた表面化学系の試験に関するJIS規格をお知らせします。防曇試験のJIS規格は、日本工業規格JIS S 7027-1993に規定されるように目視による試験です。また、コロイド分散系−ゼータ電位の光学的測定法は、日本工業規格JIS Z 8836:2017 (ISO 13099-2:2012) に規定されています。さらに、日本工業規格 JIS R 3257 : 1999により基板ガラス表面のぬれ性試験方法が決まっています。引張試験のJIS規格は、日本工業規格JIS K 7161やJIS K 7113などです。
なお、受託測定を請け負う企業では、JIS規格の他、ISO規格やEU規格に対応する測定をおこなっている企業が多くあります。