防曇試験機

防曇試験機とは

防曇試験機とは、透明な材料の曇りの度合を測る試験機です。防曇試験機は、視覚確保が重要な特性であるガラスやレンズなどの製品の曇り度合いを評価します。

防曇試験機の使用用途

防曇試験機は、透明な材質における曇りの度合の測定に使用されます。ガラスやレンズなどの曇り度合いの測定が主な使用用途です。

具体的な使用用途としては、視認性による安全性能が重要な製品の評価が挙げられ、自動車や建材のガラスやバイクのヘルメットのフェイス部分などの評価があります。また、防曇試験機は、スーパーやコンビニの冷蔵ケースのガラスや弁当のふた、食品の包装フィルムなど商品価値を付与するために視認性が必要な製品の評価にも使用されています。さらには、胃カメラのレンズなどの医療機器のレンズの評価も防曇試験機の重要な使用用途です。

さらには、撥水処理した被測定物の防曇性能の評価にも使用されています。

防曇試験機の原理

ここでは、「防曇性能」を「ヘイズ値」を利用して評価する防曇試験機(ヘイズメーター)と、「画像圧縮解析」を利用して評価する防曇試験機の原理について述べます。

1.「曇る」現象について

まずは、「防曇試験」で測定する「曇る」現象について解説します。ガラスやレンズが曇る原因は「結露」です。結露は、空気中の水蒸気が冷却されると凝縮し、固体の表面(内部)に水滴として付着することにより生じます。

この水滴によりガラスやレンズを透過した光が散乱し、ガラスやレンズを通して見た像がぼやけて見える現象が「曇る」現象です。

2.「ヘイズ値」を利用した防曇試験機について

「ヘイズ値」とは、被測定物における全透過光中の散乱成分の割合のことです。

具体的には、まず、被測定物であるガラスやレンズといった透明な物体に光を透過させ、透過光の平行成分と散乱成分の全てを含んだ全光線透過率を測定します。次に、被測定物の透過光中のうち平行成分を除去して散乱成分のみを測定します。ヘイズ値は、この全光線透過率中の散乱成分の割合、ヘイズ値(%) = 散乱成分 / 全光線透過率 × 100 で求められる値です。

前項で述べたように「曇り」があると、透過光が散乱するため、曇りが少なく透明度の高い被測定物におけるヘイズ値は0に近くなり、「曇り」の度合いが増すにつれ、ヘイズ値が大きくなります。すなわち、「ヘイズ値」を用いた防曇試験機(ヘイズメーター)では、散乱成分の割合を評価することで定量的に「防曇性能」を評価可能です。

なお、ヘイズメーターのおおまかな構成は、光源、積分球、受光器、トラップなどで、光源から被測定物に光を照射し、透過光を積分球により集光して受光器で受光しています。トラップは平行成分を除去するための部材です。

3.「画像圧縮解析」を利用した防曇試験機について

次に、「画像圧縮解析」を利用した防曇試験機について説明します。この防曇試験機では、所定の物体を被測定物であるガラスやレンズを通して撮影し、画像として取得しています。ガラスやレンズが曇っていない状態での画像とガラスやレンズが曇っている状態での画像を比較することにより「曇り」度合いの評価が可能です。

まずは、ガラスやレンズが曇っていない状態で所定の物体を撮影し、第1の画像を取得します。この画像は、像がくっきりとしている画像です。次に、ガラスやレンズが曇った状態で所定の物体を撮影すると、像がぼやけた第2の画像が得られます。

輪郭がくっきりしている第1の画像を圧縮すると、輪郭部分のピクセルパターンが多くファイル容量が大きくなります。一方、輪郭がぼやけている第2の画像を圧縮すると、輪郭部分のピクセルが幾つかまとめて処理されるため、ファイル容量は第1の画像より小さな値です。

つまり、この防曇試験機では、この圧縮後のファイル容量を比較することで「曇り」度合いを評価しています。「曇り」度合いが高いほど圧縮後のファイル容量が小さくなるため、「防曇性能」を定量的な評価できます。さらに、この防曇試験機では画像を用いて評価していることから、目で見た状態に限りなく近い条件で防曇性能を評価できるのが大きなメリットです。

防曇試験機のその他情報

防曇試験としては、上記の「ヘイズ値」を利用した「画像圧縮解析」を利用した方式以外に、従前よりおこなわれていた「目視による官能評価」「接触角計による評価」があります。順番に解説します。

1. 目視による官能評価

この方法では、「目視」により評価しています。最も多く使用されている方法ですが、定量的に評価をおこなうことが難しく、検査者によるばらつきが生じる可能性があることがデメリットです。

2.接触角計による評価

この方法では、曇りの原因となる結露とガラスやレンズなどの被測定物との接触角を測定して曇りの度合いを評価しています。ただし、近年、この接触角と結露に相関性が見られないことが分かってきています。

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