アンテナケーブルとは
アンテナケーブルとは、地上波放送や衛星放送を受信するために使用するケーブルです。
テレビやHDDレコーダの背面のF接線端子といわれる専用の端子に接続します。地上デジタル放送は室外に設置された専用のUHF受信アンテナにて放送信号を受信します。
BSデジタル放送やCSデジタル放送の場合には、専用のパラボラアンテナを使用して放送信号を受信します。BSおよびCSデジタル放送の放送波は比較的同一方角に位置する放送衛星から送られてくるため、1つのパラボラアンテナで双方の放送を同時に受信することが可能です。
アンテナケーブルの使用用途
アンテナケーブルは、アンテナで受信した放送を映像機器へ分配するために使用されます。以下はアンテナケーブルの使用一例です。
- 家庭用テレビの放送受信用
- ブルーレイプレーヤ用
- HDDレコーダ用
- 同軸カメラ用
主に放送送受信用に使用されます。ただし、同軸ケーブルであるため、プラグが合えばカメラの映像送信にも使用可能です。
アンテナケーブルの原理
アンテナケーブルは同軸ケーブルと呼ばれる種類のケーブルです。芯線、絶縁体、外部導体、外部被覆で構成されます。
1. 芯線
芯線は電気信号を送受信する部分です。多くの場合は銅線が使用され、撚線構造を使用せず単芯構造なのが特徴です。主に直径は5.4mm・6mm・7.7mmの3種類が使用されます。
2. 絶縁体
絶縁体は芯線と外部導体を絶縁する部材で、主にポリエチレンが材料の場合が多いです。外部被覆は、ケーブル全体を外部環境から保護するための部分で、材料はビニールなどです。
3. 外部導体
外部導体は絶縁体の外周を取り囲む信号用配線で、材料は網目状の銅が使用されます。外部導体は一般的に接地させて使用され、芯線をノイズから保護する遮蔽層としての役割もあります。
外部導体と芯線間の微弱電圧で信号を伝送しています。
アンテナケーブルのその他情報
1. アンテナケーブルによる信号分配
放送信号はアンテナから受信した後にケーブルを通して、各部屋の壁面端子まで送られます。アンテナと壁面端子が離れている場合や多くの部屋がある場合には、ブースターと言われる機器で信号増幅して分配します。
壁面端子以降はアンテナケーブルによって受信機器へ送られます。地上波とBS/CS放送の周波数は大きく異なるため、これらの信号はそれぞれ別のケーブルを使用しなければなりません。
2. 地上波放送とBS/CS放送の違い
地上波は周波数範囲が470~710MHzの放送です。この放送信号はテレビなどの受信機内部で処理可能な信号に変換されます。
470~710MHz帯の高周波信号はベースバンド信号と言われる周波数帯に変換された後に、B-CASカードを使って暗号を解除します。信号中には映像・音声信号や番組情報信号などが混ざっているためそれぞれ分離します。分離された信号は展開や変換 (デコード)が実施され、最終的に画面上へ投影されます。
BS放送
BS放送は「Broadcasting Satellites」の略称です。パラボラアンテナで受信し、BS-IFと言われる周波数帯1022~1522MHzにダウンコンバートされてBS放送用チューナに入力されます。
CS放送
CS放送は「Communication Satellites」の略称です。110度CSデジタル放送とも呼ばれます。BS放送同様にパラボラアンテナで受信し、CS-IFと言われる周波数帯1572~2072MHzにダウンコンバートされてCS放送用のチューナに入力されます。
3. アンテナケーブルの規格
アンテナケーブルには、「S-5C-FB」といった品番が印字されています。この印字には、アンテナケーブルの規格などが表示されています。
先頭文字
先頭の「S」は衛星放送に対応していることを意味し、対応していない場合には無表記となります。
2番目文字
2番目の「5」はケーブルの太さ (単位:mm) を表しています。「2」は外径約4mm、「3」は外径約5.4mm、「4」は外径約6mm、「5」は外径約7.7mmです。
3番目文字
3番目の「C」はケーブルのインピーダンスを意味しています。「C」は75Ω (テレビ用) 、「D」は50Ω (無線用) です。
4番目文字
4番目の「F」は絶縁体の材質を表しています。「F」は材質が発泡ポリエチレンで、「2」は材質がポリエチレンです。
5番目文字
最後の「B」は編線組の種類を意味しています。「B」は編線組の内側にアルミ箔を巻いた構成、「V」は編線組一重、「W」は編線組二重、「T」は編線組三重であることを表しています。
4. アンテナケーブルプラグの種類
アンテナケーブルのプラグには、いくつか種類があります。プラグは接続するアンテナケーブルの種別や使用場所などに応じて、最適なものを選択することが重要です。
ストレートタイプ
もっとも一般的なプラグで、テレビとレコーダーとの接続などに適しています。ケーブルを曲げると負荷がかかりやすいため、狭い場所での使用には不向きです。
L型プラグ
L字状にプラグが屈曲した形状で、狭い場所での使用に適しています。
F型プラグ
内側にネジ溝が形成されたプラグです。アンテナケーブルとねじ込みながら接続します。ネジ式のため接続が外れにくいというメリットがあります。
混合型
一端がストレート形状、他端がL型形状など、両端で形状が異なるタイプです。
参考文献
https://thebest-1.com/a4563/
https://minantena.com/knowledge/cable.html
https://www.sun-ele.co.jp/support/how/bs_freq.html
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/cable_type/
http://www.satellite.co.jp/coaxial-cable.html
https://www.antenakoji110.com/news/20200413-4.php