エンジンコンプレッサとは
エンジンコンプレッサとは、その名の通り電気方式ではなく、エンジンにて稼働させるタイプのコンプレッサです。
コンプレッサは、圧縮空気を作り工具や機械を動かす際に必要になります。エンジンコンプレッサの最大の特徴は、電源を確保する必要がないため、あらゆる場所でエアー工具を使えることです。
電源の確保が困難な屋外作業で威力を発揮します。コンパクトに設計されているものが多く、車輪がついているタイプがほとんどです。場所を選ばずに作業可能で、なおかつ移動や運搬がしやすく、機動力に優れています。
エンジンコンプレッサの使用用途
エンジンコンプレッサは、電源を確保するのが難しい状況にある屋外での作業で使用される場合が多いです。建築工事や塗装工事、出張工事等は、電源確保が難しい上、コンプレッサを運搬しながらあらゆる場所でエアー工具を使います。
エンジンコンプレッサであれば、電源確保が不要な上、車輪がついているため運搬しやすいです。機動力が高いエンジン式も広く普及しておりますが、工場などではモーター式が使われています。
エンジンコンプレッサの原理
エンジンコンプレッサの仕組みは圧縮・吐出・吸入の3つの仕組みからなります。
1. 圧縮
モーターでピストンが上昇し、コンプレッサ内の空気は圧縮されます。これによりコンプレッサ内の圧力は上昇し、空気がエネルギーを持った状態になります。圧縮行程中に発生する熱の冷却とエアーリークを防ぐためにコンプレッサオイルが注入されます。
2. 吐出
ピストンが最高点に到達した際に吐出弁が解放されます。この時シリンダ内部の高圧の空気が吐出されます。吐出された空気は機械や工具の動力源となります。この時オイルはオイルクーラーに移動して冷却されます。
3. 吸入
吐出完了後にピストンが下降し、吐出弁が閉じます。コンプレッサ内部の圧力が下降した際に吸入弁が開いて必要な空気量だけ空気が吸入されます。
エンジンコンプレッサの選び方
空気量と圧力、アフタークーラーの有無等に着眼してエンジンコンプレッサを選びます。
1. 空気量
単位時間当たりにコンプレッサが吐き出す圧縮し空気量を指します。単位はL/minやm3/min等を使用します。
選定の際は、工具1台あたりについてカタログに記載されている必要な空気量の20%程余裕を見てエンジンコンプレッサを選定してください。例えば、さく岩機は1.5~3.5 m3/minの空気量が必要になります。空気量が不十分だと動かしたい工具や工作機械が制御不能になってしまいます。
2. 圧力
圧縮空気が持つ単位面積当たりに加えることができる力を指します。単位はMPa等を使用します。圧力の表示方法には2種類あり、真空を基準とする絶対圧と大気圧を基準とするゲージ圧です。
エンジンコンプレッサの圧力は、ゲージ圧で表記されます。標準仕様のコンプレッサの吐出圧力は0.7MPaです。空気量と同様に圧力が不十分だと工具や工作機械が制御不能になります。
3. アフタークーラー
空気中には水蒸気が含まれており、コンプレッサで空気が圧縮されると凝縮して液体になります。アフタークーラーは凝縮した水を除去しながら高温の圧縮空気を冷却するのが役割です。
アフタークーラーを使用することで、コンプレッサのパイプシステム内で水が溜まるのを防ぎます。気泡が入るのを防ぐために、塗装用コンプレッサ等でも使用されます。アフタークーラーの無いコンプレッサを使用すると、凍って動かないことや水が飛散して汚れるトラブルが発生します。
エンジンコンプレッサの種類
1. スクリュー式
雄と雌のスクリューロータがケーシングと呼ばれる容器に格納されています。スクリュー式は、ケーシング内でスクリューロータを回転させて空気を圧縮する方式です。スクリュー式の中でもさらに、油冷式とオイルフリー式に大別されます。
オイルフリー式は、スクリューが噛み合う所で接触しないため油の注入が不要です。そのため、油分の少ない空気を出力可能な方式となります。なお、油冷式はスクリューロータにオイルを噴射しながら空気を圧縮する方式です。一般的な工業用途で使用されます。
2. スクロール式
渦巻き状の圧縮部が空気を圧縮する構造となっています。小容量で低騒音が求められるコンプレッサで使用されます。固定スクロールと可動スクロールと呼ばれる部品から構成されています。この2つの部品で仕切られた空間の容積が変化することで空気を吸入・圧縮します。
参考文献
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/reshipuro/ta2vfs0000004g3u.html