エアレス塗装機とは
エアレス塗装機とは、塗料を圧力タンクで加圧し、高圧をかけて塗料を噴射する塗装機です。
塗料を細かいミクロの霧状に吹き付けるので、均一な厚さでムラなく広範囲の塗装に利便性を発揮します。また、凹凸表裏面やフォルムの不規則な車体など、複雑な形状の材質にもヘッドノズルのホースで自在に吹き付けできるのが利点です。
同様の原理で設計されたものとして、高圧洗浄機やエアブラシなどが挙げられます。エアレス塗装機は、塗料タンクと高圧ポンプ、塗料の粘度や吐出量、ノズルの形状などにより様々な塗装効果を得られます。
エアレス塗装機の使用用途
主な使用用途としては、車両塗装、機械、機器塗装のほか、壁面の下地塗装、液体状の壁材惹き付けなどがあります。様々な塗料をタンク内に投入して、噴射可能なものであれば大体使用可能です。
また、美術工芸分野でも広範囲着色のオブジェや、ポスター、看板下地などの着色塗装や民芸品、工芸器などで美しい光沢と色艶で仕上げ加工したい場合に用いられます。
昔ながらの職人技法を模して、刷毛塗りの重ね技法そのままを、小型エアレス塗装機で再現した今様のブランド工芸品も多く見かけます。
エアレス塗装機の原理
業務用エアレス塗装機の特徴は加圧力です。機種機能の差異は、油圧 (20MPa程度) を維持したままで何m²連続で吹き付け可能かという耐久性、樹脂系溶剤 (メラミン、アクリル) など高粘度溶剤の塗料の対応可否、持ち運びの融通などで決まります。樹脂対応エアレスガンは、ノズルのクリーニングが容易であり、脱着、部品交換が簡便なことも重要です。
タンクガジェット部分に送る胴体部には、圧力計測機器が付属しており、溶剤を連続塗装する際は一定の数値を維持できているか確認しながら作業を進めていきます。送圧が不充分になるとノズルガンの放出が弱まり、作業精度に欠く場合は早めに再加圧する方が作業復帰が容易です。
また近年の集合住宅での内装リフォーム、マンションの修繕補修の需要では静音駆動のモーターを搭載しているということも大きな商用メリットになっています。日曜大工用、趣味の工芸作品作製などには、簡易式エアレス塗装機が使われています。油圧ボンベとして専用の圧力容器を本体に設置して、塗装できます。
エアレス塗装機の種類
エアレス塗装機には、業務用と簡易式の2種類があります。
1. 業務用エアレス塗装機
業務用エアレス塗装機は、高い加圧を維持しながら連続して広範囲の塗装が可能です。高粘度の樹脂系溶剤にも対応し、ノズルのクリーニングや部品交換が容易なものが求められます。また、静音駆動のモーターを搭載した機種は、集合住宅での内装リフォームなどに適しています。
2. 簡易式エアレス塗装機
簡易式エアレス塗装機は、日曜大工や趣味の工芸作品作成などに用いられます。カートリッジ式のエア缶をエアガンに装着して吹き付け作業を行います。小型で軽量なため、持ち運びに便利で、狭い場所での作業にも適しています。
エアレス塗装機の選び方
エアレス塗装機を選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。
1. 用途に合った種類の選択
業務用か簡易式か、使用目的に合った種類を選びます。業務用は高い塗装品質と耐久力が求められる現場に適しており、簡易式は小規模な塗装作業やDIYに適しています。
2. 加圧と連続塗装の力の確認
高い加圧を維持しながらどの程度の面積を連続して塗装できるかを確認します。加圧が高いほど塗料の微粒化が進み、均一な塗装面が得られます。
3. 対応可能な塗料の確認
使用予定の塗料に対応しているかどうかを確認します。特に高粘度の樹脂系溶剤を使用する場合は注意が必要です。
4. メンテナンス性の確認
ノズルのクリーニングや部品交換が容易であるかを確認します。塗装作業では、塗料の詰まりやノズルの摩耗などが発生しやすいため、メンテナンスが簡単で交換部品の入手が容易な機種が望ましいです。
5. 静音性の確認
集合住宅での作業など、静音性が求められる場合は、静音駆動モーターを搭載した機種を選びます。騒音が問題になる現場では、作業効率よりも静音性を重視することが必要です。