防水PC

防水PCとは防水PC

防水PC (英:waterproof computer) とは、防水機能があるコンピュータです。

例えば、パソコンを使用中に、お茶やコーヒーなどをキーボードにこぼすと、パソコンが故障することがあります。普通のパソコンでは、防水機能がないためです。

防塵・防水性能は、国際電気標準会議の標準が定められており、パソコンもほとんどがこの標準を採用しています。IP (International Protection) コードと言い、防塵と防水性能をIPの等級で表示します。

防水PCの使用用途

防水PCは、汎用パソコンとして一般的な業務に使われるほか、産業用・業務用のPCに広く採用されています。多湿・ほこり・水滴・寒冷・雰囲気ガス・塩水・降雨など環境が良くないところでのPC利用が増加しているためです。

産業用防水PCの用途例

  • 各種工場・・・食品工場・樹脂成形工場・繊維工場・鋳造工場・製鉄工場・精錬工場・作業ロボット・物流倉庫・発電所・化学プラントなどの制御用PC
  • 船舶・航空機・ドローン・・・船舶・航空機の通信/姿勢制御など
  • 建設現場・・・機械・車両・重機・特殊車両の制御など
  • 屋外設置機器・・・通信機器・屋外ディスプレイなど
  • 農業・酪農・漁業・海洋機器・・・農業ハウス・自動機械・養殖・風力発電装置・海洋調査の制御など
  • 研究・実験機器・・・各種データ収集・分析など

防水PCの原理

1. 汎用ノートパソコンの防水

水に弱いとされていたノートパソコンも、防水性の改善が進んできています。その1つが、キーボードの下にバスタブを設ける方法です。キーボードにこぼした水を受け皿に受け止めて排水し、配線基板やハードディスクなどへの浸水の時間を延ばして、故障を防止するものです。排水口や排水路・バスタブの構造が工夫されています。

汎用パソコンは、防滴性の評価試験が行われています。キーボード面にコップ一杯程度の水をかけ、排水して機能のチェックを行います。あるいは、IPの等級1の試験法による場合もあります。さらに、高温・高湿環境の評価試験も行われます。

2. 産業用パソコンの防水

IP標準の保護等級を上げるには、パソコン全体を完全密閉構造とする方式が一般的です。多くの放熱フィンを筐体外側に設けて、放熱させます。コネクター接続部には防塵防水型のコネクターを使用します。

防塵・防水の評価試験は、IPに定められた試験法により、等級別に行います。

防水PCの規格

防水性能の規格は、IPコードを使うのが一般的です。IPコードは、国際電気標準会議で標準化された電気機械器具の外郭による保護等級のことです。電気機器で粉塵・水などに対してどれだけ保護できるかを示しています。

通常、IPの後に2桁の数字を付けて、前の数字が防塵、後ろの数字が防水性能を示します。数字が大きくなるほど性能が上がります。

例えばIP65は、粉塵の保護、等級が6で、粉塵が侵入しないことを意味し、防水の保護等級が5で、あらゆる方向からの強い噴流に耐える防噴流形を表します。 

IPの各保護等級に対応して、保護の内容とテスト方法が定められています。

防水保護の例

  • 保護等級0 IPX0・・・水の侵入に対して保護されていない
  • 保護等級1 IPX1・・・鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない 防滴1形

    テスト方法・・・200mmの高さより3~5mm/minの水滴、10分

  • 保護等級3 IPX3・・・垂直より左右60°以内からの降雨によって有害な影響を受けない 防雨形

    テスト方法・・・200mmの高さより60°の範囲に10l/minの放水、10分

  • 保護等級5 IPX5・・・あらゆる方向からの強い噴流によって有害な影響を受けない 防噴流形

    テスト方法・・・3mの距離から全方向に、12.5l/min・30kPaの噴流水、3分間

  • 保護等級8 IPX8・・・水面下での使用が可能 水中形

    テスト方法・・・PCメーカーと機器の使用者間の取り決めによる

防水PCカバー形

今使っているノートパソコンに防水を施す場合は、防水シート・ケース・カバーを使う方法があります。防水カバーや防水シートをキーボードに貼れば、キーボードの水濡れを防ぎ、防塵対策にもなります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です