業務用加湿器

業務用加湿器とは

業務用加湿器 (英:commercial humidifier) とは、広い空間を加湿する装置です。事務所・病院・店舗・保育園など面積が広い室内を、適度な湿度に保つために使用されます。

室内の湿度を40~60%に保つのが良いとされています。特に冬季は室内が乾燥して、呼吸器系の不調や風邪・インフルエンザなどのウィルス疾患などが蔓延しやすくなり、花粉の飛散も増加します。人が多く集まる場所を、加湿できる大容量の加湿器が必要になります。

また、恒温恒湿室や計測室など、規定の湿度を要求される部屋を、加湿する場合もあります。

業務用加湿器の使用用途

業務用加湿器は、健康志向の高まりにより、多くの施設で使われるようになっています。

  • 医療・福祉施設・・・病院・クリニック・高齢者施設など
  • オフィス・商業施設・・・事務室・店舗・飲食店など
  • 教育施設・・・学校・幼稚園・研修所・図書館など
  • 工場・・・印刷工場・製紙工場・制御室・恒温室など
  • 展示物保存・・・美術館・保管庫
  • 試験室・・・恒温恒湿室・計測室・騒音試験室・電波試験室など

業務用加湿器の原理

業務用加湿器の加湿方法は、気化方式・浸透膜方式・蒸気方式・水噴霧方式などがあります。

1. 気化方式

気化方式は、フィルターなどの多孔質材料に水を含ませ、これに風を当てて水分を蒸発させる方式です。加湿量は少ないが、ヒーターレスで消費電力は小さい特徴があります。また、加熱しないので、かびの発生や雑菌の繁殖などがあり、こまめな掃除やフィルターの交換など手間がかかるのも短所です。

2. 浸透膜方式

浸透膜方式は、浸透膜から水蒸気のみを放出し、表面を流れる空気を加湿する方式です。加湿量は多く、電力消費は少ないが、浸透膜の定期清掃が必要です。

3. 蒸気方式

蒸気方式は、ヒーターにより水を加熱して発生する水蒸気で加湿する方法です。大量に加湿できますが、消費電力大きいのが短所です。また、水を加熱するので、かびや雑菌の繁殖がない特徴があります。しかし、水垢が多いので定期的な清掃が必要です。また、気温に左右されず、安定して加湿できるメリットがあります。

4.水噴霧方式

水噴霧方式には、水に超音波を当てて水を微粒子化させる超音波式と、噴霧ノズルから高圧水を霧状に噴出させる高圧スプレー式とがあります。加湿量が多く、消費電力は小さい利点がありますが、雑菌が繁殖するので、定期的に清掃が必要です。比較的価格が低い方式です。

5. ハイブリッド方式

ハイブリッド方式は、複数の加湿方式を組み合わせたものです。両者の長所が出るようにしています。蒸気方式と気化方式の組み合わせ、及び蒸気方式と超音波式の組み合わせなどがあり、効率よく加湿できます。

業務用加湿器の種類

業務用加湿器には、様々なタイプがあります。

室内床置き形は、床固定型とキャスター付きの移動型があります。水道直結の自動吸水ができるタイプは、給水の手間が省けます。

壁・天井取付け形は、省スペースになります。装置組み込み形やダクト吹き出し形は、見た目に優れ、大規模な装置に使われます。

業務用加湿器の選定

業務用加湿器の選定は、使用する部屋の床面積・加湿量・加湿方式・価格などにより、選ぶのが一般的です。

1. 床面積・加湿量

加湿能力は、室温20℃・湿度30%時に放出できる1時間あたりの水分量「mL/h」で表示されます。加湿量の目安は、

  • 床面積木造30m2、プレハブ50m2・・・加湿量1,000ml/h程度
  • 床面積木造50m2、プレハブ80m2・・・加湿量1,500ml/h程度
  • 床面積100m2以上の美術館・工場・商業施設など・・・産業用加湿装置

2. 加湿方式

加湿量・消費電力・メンテナンス性・空調機との組み合わせ・価格などから、加湿方式を選びます。加湿量が多く、消費電力が少ないのは、水噴霧方式や浸透膜方式ですが、こまめなメンテナンスが必要です。また、ヒーター加熱による蒸気方式は、最も衛生的ですが、消費電力が大きいデメリットがあります。

3. その他機能

業務用加湿器は加湿量が多いので、給水方法をチェックします。タンク給水の場合は、水の容量、取り外し・取付けの容易さを調べます。水道管直結の自動吸水は、手間がかからず便利です。

ファンモーターDCモーターを使用するタイプは、電気代が低減できます。

大きさも重要です。設置場所を決めて選定します。設置床面積を必要としない壁取付けのタイプもあります。

加湿以外の機能が付いた製品もあります。空気清浄・殺菌・抗菌などの機能です。湿度表示・タイマー・チャイルドロックなどは、使うと便利です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です