偏心検査機とは
偏心検査機 (英語:Eccentric inspection machine) とは、軸対象形状で主に回転する部品について、回転軸からの形状のずれを検査するための検査具を言います。
多くはダイヤルゲージを取り付けて2つ以上の測定物の比較測定を行うための測定台のことです。測定する部品は通常シャフトや歯車、プーリーなどであり、これらの振れを測定する際に使用します。
測定自体はダイヤルゲージを用いて接触方式で計測することが通常であり、偏心検査機はあくまで測定を行うための計測台を指します。偏心検査機には過去には多数のメーカーが存在していました。現状は大菱計器製作所と理研計測器製作所の2社で、ほぼ国内のシェアを2等分しています。
偏心検査機の使用用途
具体的な使用事例としては、以下のようなものがあります。
- プーリーなどの歯車加工工程における抜き取り検査のための測定物固定
- モータシャフトの比較測定のための測定物固定
- 積層コアの直角度測定のための固定
測定方法としては、以下の2つの手法が存在します。
- センサや変位計などを用いた「非接触式」
- ダイヤルゲージを用いた「接触式」
偏心検査機の原理
偏心検査機は、測定対象物を実際に回転させ、回転中心から離れたある地点から、対象部品の外形との距離の変化を読み取ります。このために偏心検査機には回転軸を支えるためのセンターと呼ばれるコーン形状の端子が、互いに向き合って置かれています。さまざまな部品を計測できるよう、二つのセンターの距離は移動できるようになっています。
偏心検査機を選ぶ際に重要になるのがセンター距離、センターの高さです。センター距離は測定する部品の軸方向の全長、センター高さは測定する部品の最大径 (半径) より上回っていなければなりません。
また偏心検査機の測定精度に大きく関わるのが、センター間平行度です。二つのセンターの平行度が悪ければ、計測値の誤差となってしまいます。一般的な製品において、センター間平行度は10μm程度になっています。
実際の形状の触れを読み取るのはダイアルゲージです。ダイアルゲージを固定する台は、部品の軸方向に移動と固定ができるようになっています。
測定自体には手法が2種類存在しており、センサや変位計などを用いた「非接触式」とダイヤルゲージを用いた「接触式」に分類されます。
偏心測定機の種類
偏心測定機は大きく5つ種類があります。
標準型
両側にスピンドルを備えた一般的な偏心測定機です。
P形
主に卓上や定盤の上に置いて小型の部品を測定しやすいように、高さを低めにしたタイプです。
RV形
回転軸を支えるセンター部分がスピンドルではなく、V溝になったタイプです。V溝部は摩耗しにくい材質が選ばれています。
SG形
ダイアルゲージスタンドが軸方向だけでなく、左右もガイドによって移動できるタイプです。センター軸に対して平行と直角に移動できるので、偏心だけではなくシャフトの曲がりやシャフトについているフランジの振れも検査することができます。
VB形
測定品を水平ではなく垂直に設置して測定するタイプです。
偏心測定機のその他情報
歯車の測定
偏心測定機で歯車の振れを測ることができます。ダイアルゲージの測定子に、モジュール (歯車の歯の大きさ) に合わせた球形状を持つアタッチメントを取り付け、谷部分に当てながら測定します。
偏心測定機を使う上での注意点
偏心測定機はほぼダイヤルゲージを用いた「接触式」が大多数を占めますが、読み取りに慣れが必要です。まず長針が回る方向によって、測定部位の距離が回転中心から長くなっているのか、短くなっているのかを理解しなければなりません。次に数値の読み取りにも注意が必要です。ダイアルゲージの多くは0.01mmか0.001mmのものであり、針が360°回転すると、それぞれ0.1mm、0.01mm移動したことになります。針が何周も回る場合には、短針の目盛から移動量を読み取る必要があります。測定者違いによる誤差を以下に小さくするかという改善が現場運用では必要です。
参考文献
https://www.obishi.co.jp/catalog/bench-centers/704/
https://www.fsk-level.com/