ディスプレイMTF測定装置

ディスプレイMTF測定装置とは

ディスプレイMTF測定装置とは、ディスプレイの解像度評価の1つであるMTFを測定する装置です。

MTFとは、英語のModulation Transfer Functionの略号で、光学系の伝達関数を言います。MTFは空間周波数特性として図示されます。

ディスプレイの解像度は、画素数や走査線の数だけではなく、画素配列・輝度・暗室/明室コントラスト・ガンマ特性・色再現範囲・色温度・白バランスなどなど多くのファクターが関係します。解像度の評価法は各種ありますが、MTFは理論的に確立した方法です。この MTF を用いると、TVカメラのレンズ特性から伝送系・ディスプレイ特性・人間の眼の特性まで、システムの総合的解像度を評価することができます。

ディスプレイの光学性の評価には、ぎらつき・鮮鋭度・防眩性・透過分布などが使用されます。このうち鮮鋭度の評価は、いわゆる「ボケ」具合を表します。

鮮鋭度(DOI)の評価は、PSF(点像の広がり分布)・LSF(線像の広がり分布)・MTF(振幅伝達関数)の3つで行います。

MTFは、空間周波数に対して、チャートで表されます。MTFの値が大きいほど、伝達特性が良くなり、ボケが小さくなります。

ディスプレイMTF測定装置の使用用途

ディスプレイMTF測定装置は、あらゆるディスプレイ・ディスプレイデバイスとその構成部材・素材の鮮鋭度の評価や品質管理ツールとして、使用されます。

具体的には、4K/8Kテレビ・携帯電話・パソコン・車載機器・計測器などの液晶パネルの見やすさの評価に使われます。

MTFの測定は、リアルタイムの測定や、動画の測定に対応でき、高い測定精度・安価な測定システム・簡単操作などが特徴です。

ディスプレイMTF測定装置の原理

MTFの測定に使用するカメラからの入力信号は、高周波数まで振幅が一定です。そして出力は、周波数が高くなるにつれて振幅が小さくなっていきます。この出力振幅がMTFと言えます。

MTFを測定する方法は、スリット法・エッジ法・チャート法の3つがあります。

1. スリット法

スリット法は、金属スリットを撮影してフーリエ変換する方法が一般的です。テストデバイスが比較的高価です。スリット法は主としてアメリカで使用されています。

2. エッジ法

エッジ法は、エッジを撮影して得られるエッジ像を微分してLSF(線広がり関数)を求め、そのフーリエ変換によりMTFを計算する手法です。テストデバイスが比較的安価です。IEC(国際電気標準会議)が、MTF測定法として推奨しています。

3. チャート法

チャート法は、いろいろな周期をもつ矩形波テストパターンを撮影して、矩形波の入出力コントラス比を求め、その後補正して正弦波の入出力コントラスト比を求める方法です。

矩形波テストパターンは、薄い鉛箔で精巧に細工されたいろいろな周期をもつ格子で作られます。これを1mm程度の厚みをもつ2枚のプラスチック板で挟み込んだ構造をしています。

チャート法は、テストデバイスが比較的安価で、主として日本やヨーロッパで使われています。

ディスプレイMTF測定装置の特徴

ディスプレイMTF測定装置は、MTF測定装置に、信号発生器と測定カメラを追加して、ディスプレイのMTF評価ができるシステムにすることができます。

また、MTFの測定のほか、粒状性・輝度均一性・階調曲線などの測定が簡単に高い精度で測定できるシステムが一般的です。

ディスプレイMTF測定装置のメーカー

ディスプレイMTF測定装置のメーカーは、それほど多くないと言えます。

ドイツのディスプレイ光学特性測定の専門メーカであるDM&S社は、ディスプレイのぎらつき測定装置SMS-1000を市場へ出しています。このシステムは、ぎらつきの測定だけでなく、鮮鋭度(解像度)・防眩性(反射特性)・透過特性の4つを評価できます。日本では、アフロディ株式会社が販売・技術サービスを行っています。

アストロデザイン株式会社のディスプレイMTF測定装置DTシリーズがあります。カメラやレンズのMTFを測定できる機能に加え、信号発生器と測定用カメラを組み合わせて、ディスプレイのMTFをリアルタイムで測定できるシステムです。この技術は、NHKの協力で開発されています。このシステムは、アフロディ株式会社も、販売と技術サービスを行っています。

エスエス技研株式会社は、ディスプレイ画質管理システムNS-2002を出しています。X線のディスプレイ画像の解像度・粒状性・階調度などを評価するシステムです。解像度の評価にMTFを使用しています。

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