ディスプレイのぎらつき測定器

ディスプレイのぎらつき測定器とは

ディスプレイのぎらつき測定器(英語:Determination of magnitude of display sparkle)とは、テレビやスマホなどの画面の「ぎらつき」の程度を測定する計測器のことです。

ぎらつきは、ディスプレイの画面上に細かな輝点がちらついて見えることを言います。画面表面の小さな凹凸がレンズの働きをして、細かな明るさや色のむらが生じることで、ぎらつきが発生します。

ディスプレイに皮脂などの汚れや異物が付着しても、ぎらつきの原因になります。ディスプレイの精細化により画素が微細化されることで、凹凸が相対的に増大するので、ぎらつきが増加する傾向にあり、ぎらつきの正確な定量的評価が重要になっています。

ぎらつきの測定法は、2019年にJIS規格が制定され、これに準拠した測定器による評価が、行われています。

ディスプレイのぎらつき測定器の使用用途

ディスプレイのぎらつき測定器は、8K/4Kテレビやモニタ・プロジェクタ・スマートフォン・タブレット端末など、あらゆるディスプレイのぎらつきや解像度特性の評価に使用されます。高精細化が進んでいる大型ディスプレイやモバイル端末、車載向けディスプレイの評価にも使われます。

パソコンやスマートフォンなどのディスプレイに、表面に防眩フィルムを貼るのが一般的です、この防眩フィルムの表面の細かな凹凸でも、ぎらつきが発生します。ディスプレイから出る光と干渉して、微細な輝度のばらつきとなるためです。

ディスプレイのぎらつき測定器の原理

ディスプレイのぎらつき測定器は、ディスプレイ表面をカメラで撮影し、演算したぎらつきパターンの度数分布から、輝度(階調)の不均一さを「ぎらつき値」として計測します。目視評価でぎらつきが小さい場合は、階調のばらつきがほとんどないシャープな度数分布となり、ぎらつき値は小さくなります。即ち、ぎらつき値が小さいほど輝度のばらつきがなく、ぎらつきが少ないと言えます。

ぎらつき測定は、ディスプレイ表面をCCDカメラで撮影して、撮影画像から輝度分布の標準偏差を平均値で割った値を%表示します。

カメラレンズの絞り位置からから、ディスプレイ面上の測定面を見込む角度が、ディスプレイ面上の最小解像領域の大きさを決めます。ディスプレイ面上の最小解像領域の大きさが、ぎらつきに反比例します。撮影の際に最小解像領域が同じになるように、レンズの焦点距離や測定距離を決めることにより、異なる測定条件でも、撮像面上でのぎらつき値は同じになります。

ディスプレイのぎらつき対策

ディスプレイのぎらつき対策は、ぎらつき防止防眩フィルムをディスプレイ表面に貼ることが、多く行われています。防眩フィルムは、ぎらつきを防ぎ、照明などの映り込みを低減します。高精細でコントラストに優れた画像が得られます。

低ぎらつきAGフィルムと呼ばれる防眩フィルムがあります。スマートフォンのような高精細ディスプレイでもぎらつきが少ない光学用アンチグレアフィルムです。スムーズな指すべり感があり、タッチパネルの表面フィルム用途に適しています。耐指紋性もあり、相分離AGフィルムは、有機ELディスプレイでもぎらつきを抑制できます。

ディスプレイのぎらつき測定の規格

2019年に、JIS C1006「ディスプレイのぎらつき度合いの求め方」が制定されています。従来は、同じサンプルでも測定装置によって測定数値に差があることや、光学測定の理論体系が未成熟であったことなどにより、信頼性の不足があったと言えます。JISで測定法が統一されて、測定データの定量的な比較ができるようになっています。

このJISは、特定の条件下の測定装置による測定結果と、目視による官能評価試験結果との比較に重点がおかれ、測定データを絶対値として定量化する観点が不足していたと考えられます。その後、異なる測定条件でも測定データが絶対値として一致するための細部の条件が確立されています。

また、ディスプレイのぎらつきコントラスト測定については、国際標準化機関IECで規格化がスタートしています。

ディスプレイのぎらつき測定器のメーカー

ディスプレイのぎらつき測定器のメーカーは、わずかです。

ドイツのディスプレイ光学特性測定の専門メーカであるDM&S社は、ディスプレイのぎらつき測定装置SMS-1000を市場へ出しています。このシステムは、ぎらつきの測定だけでなく、鮮鋭度(解像度)・防眩性(反射特性)・透過特性の4つを評価できます。測定方法はJIS規格のほか、IEC(国際電気標準会議)、ASTM(米国材料試験協会)に準拠しています。高い測定精度と簡単な操作で世界中の関連ユーザーに使われています。人が視認するぎらつきの画像から、明るさ強度の標準偏差とその平均強度を割った数字が、ぎらつき値(%)として算出されます。日本では、アフロディ株式会社が販売・技術サービスを行っています。

株式会社トプコンテクノハウスは、2D分光放射計SR-5100を発売しています。画像を分光スペクトル解析する装置ですが、測定エリア全体の輝度を計測できるので、ぎらつきやぎらつきコントラストの定量評価が可能です。カメラの撮像素子(CCD)で測定画像を取り込み、画像処理を行います。ぎらつきコントラスト値は、標準偏差を平均値で割ったばらつきの関係を、相対的に評価する際に用いる変動係数で表します。

ディスプレイのぎらつき測定器の使用動画例

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