顕微鏡と一言でいっても、種類がさまざまです。
この記事では光学顕微鏡、電子顕微鏡の分解能について解説します。
画像出典: unsplash
光学顕微鏡の分解能
光学顕微鏡はよく理科の実験で使用されていて、電子顕微鏡に比べて操作が簡単で顕微鏡というと一般的に光学顕微鏡のことをいいます。
対物レンズと接眼レンズを使用し、光をレンズに照射し、像を結ぶようピントを合わせて観察します。
光学顕微鏡の倍率は現在性能の良いもので1500倍程度です。
利用する光の波長が光学顕微鏡の分解能の限界で、大体光の波長が0.4~0.7μmなので分解能も0.4~0.7μm程度です。
後述する電子顕微鏡と比較して、分解能が低くなってしまうデメリットがありますが、生体試料の染色をする必要がないことが強みです。
光学顕微鏡の分解能が低いデメリットに対して、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡が開発されました。
光の波長は変えることができないので、位相板等を使用してその波長の位相をずらすことによって試料にコントラストをつけることに成功しました。
現在では、位相差顕微鏡、微分干渉顕微鏡の開発によって生体試料の観察が容易になりました。
電子顕微鏡の分解能
電子顕微鏡には透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡の2種類があります。
どちらも電子線をレンズに照射し、試料に当てた後の電子線を検出することによって観察します。
電子の像なので色は白黒ですが、電子線の波長は非常に密なので分解能は光学顕微鏡の1000倍程度も高くなり、1~0.1nmと原子レベルの観察が可能なものもあります。
透過型電子顕微鏡の分解能
透過型電子顕微鏡は試料に電子線を透過させて像として検出しますので、試料を薄く加工する必要があります。
試料の成分の濃淡や内部の構造を観察できます。
走査型電子顕微鏡の分解能
走査型電子顕微鏡は試料の表面に電子線を照射し、その反射した電子線を検出し、像として観察します。
絶縁体試料では帯電してしまうため、金属膜を蒸着させる必要があります。
試料表面の凹凸等を観察するのに用いられます。
まとめ
光学顕微鏡は使い方が簡単で、生体試料の観察に向いています。
分解能は0.4~0.7μm程度です。
一方電子顕微鏡は前処理等がありますが、分解能は1~0.1nm程度と、光学顕微鏡よりも1000倍程度高くなっています。