インサートリングとは
インサートリングとは、油圧や空圧、水などの流体配管システムにおいて使用されるリング状の部品のことです。
特にパイプやチューブの内部に挿入される部品を指すことが多く、配管やパイプの接続部分で使用されます。密封や接続を強化するのが目的です。
例えば、チューブフィッティング (管継手) の接続部分には、収縮を防ぐためにもインサートリングが使用されることがあります。チューブフィッティングは、チューブを継手に取り付けるための部品で、しっかりとした接続と漏れの防止を目的としています。
インサートリングは配管のところどころで使用され、目的に応じて種類はさまざまです。
インサートリングの使用用途
インサートリングは多くの場合、異なる配管のつなぎ目で使用され、流体の漏れを防ぐ役割を果たします。
1. 液体やガスの配管システム
チューブやパイプを使用して液体やガスを輸送する際に、異なる配管を接続するためにインサートリングが使用されます。これにより、配管システムの漏れを防ぐことが可能です。
2. 圧力制御装置
圧力制御装置やバルブにおいて、配管の接続部分でインサートリングが使用されます。これにより、正確な圧力制御が実現され、漏れや圧力がかかりすぎるリスクが軽減されます。
3. 燃料供給システム
自動車や航空機の燃料供給システムにおいて、燃料ラインの接続部分にインサートリングが用いられ、燃料の漏れを防ぎます。
4. 冷却システム
冷却水や冷却液の循環を行う冷却システムにおいても、流体の漏れがあると冷却効果が損なわれるため、配管の接続部分でインサートリングが使用されます。
5. 化学プロセス
化学プロセスや製造工程において、異なる薬品や液体を適切に混合するための配管システムにおいてもインサートリングが使用されます。これにより、薬品漏れを防ぎます。
6. 医療分野
医療機器や医療用具において、液体やガスの供給や排出を行うために配管が使用されることがあります。これらの配管の接続部分にインサートリングを使用することで、安全な操作と衛生的な環境を実現しています。
インサートリングの原理
インサートリングは、配管同士や配管と継手との間に挿入されます。そして、配管を接続する際に継手や圧縮環によって挟まれ、圧力が加えられます。この圧力によって、インサートリングの材料は変形し、接続部分の周囲にしっかりと密着される仕組みです。
密着することで、配管や継ぎ手のわずかな隙間を埋め、密封性を確保します。これにより、液体やガスの漏れを防ぎ、システムの効率性と安全性を向上させます。
この密着性をを実現するため、インサートリングは弾性のある材料で作られるのが一般的です。この弾性材料が配管の接続部分に適切な圧力をかけ、周囲の面に密着して密封を実現します。
なお、チューブの収縮を防ぐ場合にも用いられ、この場合、チューブの内側に挿入され、金属などチューブよりも固い材料が用いられます。
インサートリングの種類
インサートリングの主な種類は以下の通りです。
1. フィッティングガスケット
管継手の接続部分に挿入されるガスケットです。液体やガスの漏れを防ぎながら、配管同士や配管と継手との間を確実に接続します。
2. チューブシールガスケット
配管の接続部分に挿入されるシールガスケットで、特に高圧や高温の環境で使用されます。ガスや液体の漏れを防ぎ、システムの安全性を確保します。
3. バルブステムパッキン
バルブのステム (操作レバーやハンドルと連動する部分) と本体の間に挿入されるガスケットです。バルブ操作時の漏れを防ぎ、適切な動作を確保します。
4. チューブエンドキャップ
配管の端を保護し、汚染や損傷から守るためのキャップです。特に、未使用の配管の一方の端を封じる際に使用されます。
5. スウェージリング
配管の径を拡張し、配管継手と接続する際に使用されるリングです。配管の先端を継手に挟み込むことで、強固な接続が形成されます。