マットスイッチとは
マットスイッチ (英: Mat Switch) とは、人が踏んだことを検知するマット状のスイッチです。
物理的な接触を利用してスイッチング動作を行うデバイスの1種です。マットスイッチはボタンやスイッチを押す必要がなく、単にマット上に立つだけで操作ができます。特に、手や指の制約がある場合や手を使うことが難しい状況でも利用できます。
また、形状やサイズが柔軟にカスタマイズできるため、さまざまな応用に適応可能です。特定の環境や用途に最適なマットスイッチを製作できます。
マットスイッチの使用用途
マットスイッチはさまざまな産業・用途で利用されます。以下はマットスイッチの使用用途一例です。
1. 工場・製造業
作業員や機械の安全を確保するためにマットスイッチが使用されます。作業員が特定のエリアに立つとマットスイッチが作動し、周囲の機械やコンベアなどの動作が停止する仕組みです。これにより、作業中の事故や怪我を防止することができます。
また、機械やロボットの操作やトリガーにも使用されます。機械のスタートボタンとしてマットスイッチを使用することで、作業員がマット上に立つと機械の動作が開始されるようになります。手を使わずに機械を制御することが可能です。
ライトカーテンやレーザースキャナのように指定した空間をスキャニングするセンサとは異なり、床面に対する負荷荷重のみを検知します。したがって、ロボットアームなどの可動部を誤検知する心配が無く、例外処理が不要であり比較的簡単に導入することが可能です。
2. 防犯
マットスイッチを床に敷き詰めることで、特定のエリアを監視することが可能です。例として、建物の出入口や窓の周りにマットスイッチを配置し、不正な侵入を検知することができます。マットスイッチが踏まれると警報が発生し、セキュリティスタッフやオーナーに通知される仕組みです。
金庫や出入り口等への侵入を検知する防犯システムなどに用います。貴重品の展示場や博物館などでも重宝されます。また、金融機関のカウンターにマットスイッチを設置し、スタッフが踏むことで緊急通報が発信される仕組みを構築することも可能です。
3. 医療・リハビリ
医療やリハビリの観点からマットスイッチを使用することもあります。手術室などの医療環境では、清潔さと衛生面の重要性が求められます。マットスイッチによってエアーカーテンなどを制御して、衛生管理に寄与します。
また、リハビリに使用されることもあります。患者がマットスイッチを踏むことで信号が発生し、歩行のパターンやステップの長さなどを評価することができます。また、マットスイッチを使用して歩行補助装置やロボットを制御することもあります。
マットスイッチの原理
マットスイッチは、ゴムなどの柔軟性のある素材で作られたマットの内部に感圧センサーを敷き詰めた構造です。マットは柔軟で耐久性のある素材で作られるのが一般的で、ゴムやシリコンが使用されます。マット素材は踏まれたり圧力を受けたりすることで変形し、下部の感圧部分へ圧力を伝えます。
感圧センサーには、テープスイッチが使用されることも多いです。人がマット上に足を踏み入れると、テープスイッチのビード部が変形し、スイッチがON状態になります。
安全装置として使用されることもあるため、テープスイッチは2線式ではなく断線状態の検知が可能な4線式が採用されることが多いです。これにより、フェイルセーフ設計 (故障時に安全側に動作する設計) が可能です。
マットスイッチの選び方
マットスイッチを選定・導入する際には、応答時間と設置面積などに注意が必要です。
1. 応答時間
マットスイッチ自体の応答時間は、数十ミリ秒以下と微小なことが多いです。ただし、安全用途などでは高い感度と素早い反応が求められます。必要な感度と反応時間を考慮し、仕様に適したマットスイッチを選びます。
2. 設置面積
人検知用のマットスイッチを誤って飛び越えてしまい、誤不動作する可能性もあります。必要な面積や配置の制約を考慮し、適切なサイズと形状を検討します。
参考文献
https://www.ojiden.co.jp/matswitch/
https://www.skdenshi.co.jp/matswitch