ポリエチレン管

ポリエチレン管とは

ポリエチレン管

ポリエチレン管とはポリエチレン(図1)で作られた配管です。ガス配管や化学プラントにおける薬液配管、水道用の給配水管などに使用されます。

ポリエチレンは耐候性および耐薬品性に優れるため、鉄配管で認められるような錆の発生による赤水の心配がありません。また、ポリエチレンは樹脂材料であるため柔軟性があり、地震などの災害に強い埋設配管網を構築できるメリットもあります。ポリエチレン管の主要メーカーとしては、樹脂材料の製造・加工を得意としている積水化学工業が挙げられます。

ポリエチレンの構造

図1. ポリエチレンの構造

ポリエチレン管の使用用途

ポリエチレン管は主に水道やガスを配送するためのインフラとしての配管として近年注目を浴びています。錆びにくく水質衛生性に優れることから配水用管として、また赤錆による管内の閉塞が発生せず、化学的に安定していることから下水管として、さらには軽量で迅速な施工が可能なことから空調配管用としてなど、配管であれば高温流体を除くあらゆる用途で使用することができます。

加えて、95℃以下の給湯用程度の温度であれば架橋ポリエチレン管を使用することで、長期間劣化すること無く使用可能です。

ポリエチレン管の特徴

ポリエチレン管は従来から埋設管に使用されてきた鉄配管と比較して、錆の心配がない点、腐食性の土壌や塩害地域でも腐食しない点、電気絶縁性に優れるため電食の心配がない点、スケールの付着による管閉塞が起きにくい点などが優れています。

また樹脂材料であることから、軽量で運搬や施工を効率化できる点、簡単に曲げることができる点、柔軟性があるため地震に強い点などがメリットとなります。

ポリエチレン管の管接合としては、融着式継手接合、メカニカル継手接合、電気融着式接合が挙げられます。融着式継手接合においては、ポリエチレン管の管側の挿し口と継手側の受け口を加熱機で加熱して溶かし、これを接合します。

本法は加熱温度の制御が必要となるため専用の加熱機の使用が望ましく、施工性という意味ではやや問題もあります。この難点を克服した手法として、電気融着式接合の一種であるEF(エレクトロフュージョン)が挙げられます。

本法は、操作の簡便さという観点で非常に優れた手法であり、電熱線が内蔵された継手に通電する事で加熱処理がなされ、これにより管と継手を同時に溶かして融着させることで、完全に一体化した接合部が完成します。

以上のような数々の利点から、ポリエチレン管は従来の鉄配管の代替として導入されることが多く、近年社会的に重要視されている災害に強い街づくり、ひいては持続的可能な社会の実現に向けて期待されています。

ポリエチレンのその他情報

1. ポリエチレン二層管

ポリエチレン二層管は、耐候性の高い外層(ポリエチレンにカーボンブラックを含む層)と耐塩素水性の高い内層(ポリエチレンナチュラルの層)の二層構造で構成されたポリエチレン管であり、主に給水管、排水管、仮設配管などの水道用途で幅広く展開されています。

柔軟性に優れるため地盤沈下や地震等に対して柔軟に追従します。また、化学的安定性に優れるため埋設する土壌に対しても腐食の心配がありません。

さらには、有害な添加物が使用されていないので衛生面でも優れています。この点に関しては、サビの発生がなく、スケ-ルの付着が極めて少ないため、水質保持と衛生面でも飲料水用配管として最適です。

本配管は管内面が非常に滑らかであり、摩擦抵抗が小さいためスケールの付着が極めて少ないという特徴があります。そのため、経年による流量低下が非常に少ないという優れた特性を有しています。

2. ポリエチレン管と塩ビ管の違い

どちらもプラスチック素材の配管であるため、これらの両素材は混同して理解されがちですが、その特徴と用途は異なるので注意が必要です。

本記事の冒頭で説明したように、ポリエチレン管はポリエチレン製の配管であり、柔軟性に優れるため、地中に埋設した場合の耐震性に非常に優れています。

一方で塩ビ管とは、ポリ塩化ビニル製の配管であり、一定の柔軟性は有しているものの、その程度はポリエチレン管には及びません。

ポリエチレンとポリ塩化ビニルの構造の違い

図3. ポリエチレンとポリ塩化ビニルの構造の違い

3. ポリエチレン管の耐用年数

ポリエチレン管は耐用年数が長いことで知られています。

国内においては100年以上の耐用年数を有した水道管路が要望されており、水道配水用ポリエチレン管路に対しても高い耐久性が求められています。この点に関する調査例としては、配水用ポリエチレンパイプシステム協会(POLITEC)の2013年の報告が挙げられます。

この調査では、内圧・外圧に対する検証、地震(耐震性)に対する検証、残留塩素(耐塩素水性)に対する検証について検討されました。

その結果、いずれの検証においても、定められた想定条件下において100年を上回る結果が得られており、水道配水用ポリエチレン管路が100年以上の寿命を充分に有していることが示されました。

4. 高密度ポリエチレン管

高密度ポリエチレン(密度が0.942~0.970のポリエチレン)を原料とするポリエチレン管は、耐衝撃性と可とう性(折れ曲がり、たわむ特性)に優れており、地震による地層のずれや地盤沈下に追従して屈曲する特徴を有します。

そのため、災害時でも破損しにくい管材です。このような物性上の優れた特徴から、道路縦横断排水管、水路改修工事、小規模水路管渠化工事、雨水排水各種工事、産廃処分場排水管など、土木、農業、鉱業などの分野で活用されています。

参考文献
https://www.eslontimes.com/system/category/94/
http://www.jppe.org/about/index.html
https://www.inoac-juukan.co.jp/product/product?pageid=1020101
http://www.jppe.org/pdf/20131121_seko_handbook.pdf
http://politec.gr.jp/ad/wordpress/wp-content/uploads/2016/12/web100tei.pdf
https://www.kuripoly.jp/product/kurimoto_kp_press/

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