ホットメルト接着剤

ホットメルト接着剤とは

ホットメルト接着剤

ホットメルト接着剤はホットメルトという接着方法に使用される接着剤で、加熱すると溶解し、冷えて固化する時に接着作用を引き起こします。接着剤中に溶剤を含まないため、安全性が高く、一般家庭でのDIYの材料として使用されています。

ホットメルト接着剤の形状としては、ホットメルト接着剤の周りに非接着フィルムを巻いた枕のようなタイプや、スティックタイプやブロックタイプや離型紙と呼ばれる非接着性の紙に入れた容器タイプなど様々です。この接着剤を利用するときはアプリケーターという加熱機器を使用して、加熱溶融させます。

ホットメルト接着剤の使用用途

ホットメルト接着剤は安全性が高いことから、最近は格安ショップでもグルーガンという名前で販売されるようになり、家庭のDIYでより身近な製品となりました。このグルーガンは、スティックタイプのホットメルト接着剤を銃のような射出機に入れ、必要量だけホットメルト接着剤を射出して使用する仕組みです。

また安全性が高いことから、食品関連にも使用されており、紙パックの飲み物についているストロー袋を接着する時などにも使われています。その他、剥がすのが容易な特性のホットメルト接着剤は、物流分野での商品ラベルの貼り付けなどに好適です。

ホットメルト接着剤の原理

ホットメルト接着剤を使うには、まず融点である120℃程度の温度まで加熱し、溶解させて液体にします。この時、被接着物の接着面を濡らし、行き渡らせることが可能な程度の粘度の液体にすることが重要です。

液体となったホットメルト接着剤は、被接着物の接着面の間に広がり、凹凸面に入り込み樹脂膜を形成します。塗布されたホットメルト接着剤は空気により冷却されて、一定温度まで下がるとホットメルト接着剤の固化が開始されます。その際に分子レベルの物理吸着が起こって接着されるのが、ホットメルト接着剤の接着原理です。

このように、ホットメルト接着剤では化学反応は伴わないため、ホットメルト接着剤を構成する樹脂の物性が変化してしまうことはありません。また、ホットメルト接着剤内部だけで接着が終了するため、被接着物に影響を及ぼすことはなく、ポリプロピレンポリスチレン、木材、ガラス、鉄、ステンレス、アルミニウムなど様々な材料を接着できます。

ホットメルト接着剤の特徴

ホットメルト接着剤の一番の特徴は、溶剤を使用しないため「環境に良い」ことです。通常の接着剤は溶剤に溶かした状態で使用し、溶剤が揮発することで接着性能を持たせるため、環境に悪いとされています。一方、ホットメルト接着剤は前述したように、熱をトリガーとして物理吸着するため、溶剤が不要で環境に良いとされています。

また、ホットメルト接着剤においては、接着速度が秒単位と非常に迅速です。一般の接着剤は、溶剤や水に溶かした状態で使用し、これらが揮発あるいは化学反応を起こして固化することで接着します。一方、ホットメルト接着剤は「加熱溶融−冷却固化」のサイクルによって接着します。この時、ホットメルト接着剤の冷却固化の速度は一般の接着剤の化学反応よりも速く、ホットメルト接着剤は一般の接着剤と比べて迅速な接着が可能です。

ホットメルト接着剤の種類

ホットメルト接着剤としては、オレフィン系のホットメルト接着剤やゴム系ホットメルト接着剤が一般的です。

1. オレフィン系のホットメルト接着剤

オレフィン系のホットメルト接着剤は、一般的な工業用接着剤での接着が難しい材料と近い物性を持ちます。このため、当該材料よりなる被接着物の接着に有効です。

2. オレフィン系のホットメルト接着剤

ゴム系ホットメルト接着剤は液体の接着剤を使用すると、被接着物に浸透してしまう場合に使用されます。ホットメルト接着剤を使い分けることで、幅広い材料の接着に対応可能です。

ホットメルト接着剤に類似した熱溶融型の接着剤としては、にかわが挙げられます。にかわの主成分は、ゼラチンです。区分できるよう、ゼラチンは主に食品や医薬品に用いられる純度の高いもの、にかわは工芸品や日本画の画材などに用いられる純度の低いものとされています。熱することでゾル化し、冷やすことでゲルとなって固定化する性質をもっています。

ホットメルト接着剤のその他情報

ホットメルト接着剤のメリットとデメリット

ホットメルト接着剤の特徴の基本的なメリットとデメリットをまとめます。メリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

  • 短時間で接着可能
  • 接着する材料として各種に適用可能
  • 無溶剤なので安全性が高い
  • 再加熱により溶融再利用可能
  • 容易に保存や保管ができる
  • 接着工程を容易に自動化可能

デメリット

  • 接着の耐熱性に限界がある
  • 一般的な硬化型接着剤と比べ接着強度が低くなる
  • 過熱溶融を行うため耐熱性の低い材料には不向き
  • 気温によって接着性が変動する
  • 使用に専用のアプリケーターが必要

参考文献
https://www.rextac-asia.com/column/products/hot-melt-type/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/42/11/42_11-5/_pdf/-char/ja

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