炭酸器とは
炭酸器とは、光合成に必要な二酸化炭素を発生させる器械のことです。
「二酸化炭素発生装置」「CO2発生装置」「炭酸ガス発生機」「光合成促進機」として、多く販売されています。植物の成長にとって必要な要素に、水・光・二酸化炭素があります。
その中でも冬場のビニールハウスはドアを締め切ることが多く、二酸化炭素が不足しがちです。そこで炭酸器を用いて、効率よく二酸化炭素を発生させることができれば、ビニールハウス内での光合成を促進させ、農作物の品質や収量アップにつながります。
炭酸器の使用用途
炭酸器の主な用途は、農作物の成長に必要な二酸化炭素を発生させることです。ビニールハウス内は作物の光合成により酸素が多く、二酸化炭素が少ないという環境になりやすいです。このような環境になってしまうと光合成が起こりにくくなり、農作物の生育が抑制され、結果として収量の減少や品質の低下につながります。
露地栽培に比べ二酸化炭素が不足しやすくなるハウス栽培を行う際に、二酸化炭素を供給し作物の生育を促進するために使用することが一般的です。炭酸器は、主に「灯油燃焼式」「LPG燃焼式」「液化炭酸ガス式」の3つのタイプに分けることができます。
炭酸器の特徴
長所
炭酸器を用いることで、ハウス内の二酸化炭素量を管理し、作物が適切に光合成を行うことができるようになります。冬場など、ハウスを締め切り外気からの二酸化炭素供給が難しい場合でも、炭酸器を用いることで生産性を高め、安定した収量を保つことが可能です。
ハウス栽培では二酸化炭素の濃度を、外気の濃度 (約400ppm) と比較して少し高く設定しておくことが重要です。植物の光合成に最も適している濃度は1,000~1,500ppmとされており、外気に近い400ppmでは生長率がさがりやすくなります。
短所
露地栽培では必要のない二酸化炭素量の管理を行わなければならず、濃度を適切に設定しなければ効果が薄れてしまうのが短所です。二酸化炭素濃度が高ければ高いほど収量が増えるというわけではなく、1,000ppmを超えたあたりから生長率に大きな変化はありません。
適切な濃度管理を行わなければ、コストのみかかり収量は変わらないという状況になる可能性もあるため、注意が必要です。
炭酸器の種類
1. 灯油燃焼式
灯油を燃焼させて、発生した排気ガスを、ファンなどを利用してハウス内に拡散させます。ランニングコストは安いものの、定期的なメンテナンスが必要です。
2. LPG燃焼式
LPガスを燃焼させた排気ガスをダクトや送風機を用いて、ハウス内に拡散させます。燃焼効率も高く、排気ガスもきれいです。
3. 液化炭酸ガス方式
液化炭酸ガスが入ったボンベから、高純度の二酸化炭素を放出させます。ハウス全体でなく、作物にピンポイントで二酸化炭素を送り込むことができます。
炭酸器の選び方
炭酸器を選ぶ際は、ハウス内の容積と作業性に注意する必要があります。
1. 容積
二酸化炭素濃度は作付面積ではなく、ハウス内全体の空間に作用するため、ハウスの大きさ・容積と照らし合わせ十分に対応可能なものを選ぶことが重要です。ハウスの容積に対応していない炭酸器を使用すると、二酸化炭素濃度を上げることができません。
十分な効果を得られないため、まずはハウスの大きさを考慮します。
2. 作業性
作業性についても、導入前に装置を設置するスペースが十分にあるのか確認しておく必要があります。炭酸器は製品によって大きさが異なり、また、ダクトの設置が必要になるケースも少なくありません。普段の作業に影響がないかを確認し、使いやすいものを選ぶと良いです。
炭酸器の使い方
炭酸器を使用する際は、作物のそばまで二酸化炭素が届くようチューブや配管を用いて直接送り込む局所施用を用いると、効率的に二酸化炭素を供給することができます。
炭酸器を設置する際は、CO2コントローラーを使用し常に濃度を管理することで、生育に適した二酸化炭素濃度を保ちやすくなります。