ガソリン携行缶とは
ガソリン携行缶とは、ガソリンや軽油、灯油などの燃料を運搬するための容器です。
ガソリンの保管や運搬には消防法により、ガソリン携行缶の使用が義務付けられています。特に灯油用のポリタンクは、強度や気密性に欠けており、破損や漏れの可能性が高く、ガソリンを入れて運搬・保管することは違法です。そのため、ガソリンを持ち運ぶ際は、必ずガソリン携行缶を使用する必要があります。
ガソリン携行缶の使用用途
ガソリン携行缶は、小型エンジンに給油するための燃料保管・運搬に用いられます。また、耕運機や草刈り機などの農業機械をはじめ、バイク、車、発動機や小型船舶など、燃料を機械類まで運び給油する場合や、緊急時や災害時など、一時的に燃料を持ち出す必要がある場合にも使用されています。
ガソリン携行缶の特徴
長所
ガソリン携行缶の長所は、農作業の圃場など、ガソリンスタンドへのアクセスが悪い場合や、車・バイクで遠距離移動の場合でも燃料の運搬が可能なことです。燃料を車両に積んでおくと、燃料不足を避けられます。
短所
ガソリン携行缶自体の短所とは異なりますが、中に入れる燃料は発火しやすいという共通の特徴があり、取扱には危険が伴います。ガソリンの引火点は、マイナス40℃程度と大変低く、静電気などでも容易に引火する上、その蒸気は目に見えません。特に冬場は、静電気に注意して取り扱うことが重要です。
ガソリン携行缶の種類
ガソリン携行缶の容積は、乗用車で運搬可能な最大値として、22リットルまでと消防法で規定されています。750ccの小型から20リットル以上の製品まで容量は幅広いです。ガソリン携行缶に、最も多く用いられる素材は金属ですが、プラスチック製もあります。
軽量で錆びを原因とした燃料漏れを起こさないという長所がありますが、10リットルまでと消防法で定められており、また衝撃に弱いという欠点があります。また、ガソリンは揺れると静電気が発生し、発火の危険があるため大き目のサイズでは、ガソリン携行缶の内部に横揺れ防止板が付いているものが多いです。
ガソリンの詰め替え給油が認められている容器は、落下試験、気密や内圧、積み重ね試験といった消防法の安全基準試験に合格したものです。乗用車で運搬の場合、金属製ならば22リットル以下の密閉できる容器で、危険物保安技術協会基準をクリアしたKHKマークや、危険物の国際輸送に関する国際勧告をクリアしたUNマークが表示されています。
なお、高密度ポリエチレン製のフューエル缶や緑色で×印の入った金属製のジェリ缶も、ガソリン携行缶として使用可能です。
ガソリン携行缶の選び方
ガソリン携行缶による燃料の運搬・保管は、用途により適切な素材や容量が異なります。バイク旅行などの場合に携帯する予備の燃料としては、小型の750cc~1リットル、自宅の草刈りなどでは1~3リットル、農業の圃場や公共の場の草刈りなど、作業時の運搬には5~10リットル、保存用には20リットル以上の容量が便利です。特に作業時は、丈夫な金属製が推奨されますが、旅行など、軽さを求める場合はプラスチック製という選択も可能です。
ガソリン携行缶の使い方
ガソリン携行缶を使用する際は、安全面での注意が必要で、火気厳禁です。保管した燃料を給油するときに、気化したガソリンにより内圧が上昇して、開栓した途端に燃料が噴出することがあります。近くに火気があると、爆発事故につながります。
危険を避けるには、ゆっくりと開栓するか、エア調整ねじ付きの場合は開栓前にネジを開け、帰化したガスを抜いて内圧を下げてから開栓することが重要です。ガソリン携行缶への詰め替え給油販売は、必ず給油取扱所の「危険物取扱有資格者」に依頼する必要があります。セルフ給油は、法的に禁じられています。
また、依頼する際は、購入者の本人確認、使用目的の申請、販売者側での販売記録が必須で、ガソリン携行缶の規定容量を守ることも大切です。燃料の入ったガソリン携行缶は、直射日光を避け、長時間の車載、気温40℃以上の場所は避けて保管します。空間にゆとりがあり、換気の良い場所が最適です。
しっかりと閉めた蓋を上にした状態で使用・保管し、定期的にガス抜き作業を行います。蓋のパッキングのごみなどは、ガソリン漏れの原因となるため、ふき取って使用します。あくまでも携行用の容器で、燃料の保管は長くても半年が目安です。
ガソリン携行缶のその他情報
ガソリン携行缶の規定
ガソリンや軽油の購入・保管には消防法により、量的制限があります。自動車以外へガソリンの詰め替え給油販売を行う場合、1日の上限は基本的に200リットル未満と定められています。
40リットル以上200リットル未満のガソリンを保管する場合は、必要書類を添付して管轄消防機関に届け出ることが義務です。届け出を行ってない場合、40リットル未満のみ購入可能となります。
ガソリンを200リットル以上貯蔵する場合は、危険物取扱者の資格と、法令に合致した構造の保管場所が必要です。ガソリンスタンドの数が少ない地域で、特に夏場の草刈り作業など燃料消費が増える場合は、1日200リットル以上のガソリンを詰め替え購入できるケースもありますが、その場合も管轄消防機関に必要書類の提出が義務となっています。