導電塗料

導電塗料とは

導電塗料とは、樹脂状の塗料の中に導電性を有する導電フィラーとして、金属粉末や導電性カーボンなどを混ぜ込み、導電性をもたせた塗料です。

金属粉末には、導電性が安定な銀粒子が最も多く使用されています。なお、動電塗料の導電性は100~1,000Ωが一般的です。

導電塗料の使用用途

導電塗料はさまざまな工業分野で、電磁シールドやラジオ波シールド、帯電防止および表面汚れ防止などの目的で用いられています。電子機器においては、静電気による機器の誤作動は大きな問題です。そこで、導電塗料を各種電極や電子基板、コンデンサー、絶縁物などの表面に塗布して導電性の被膜を形成し、静電気による誤作動を防止しています。

また、建築材料や樹脂、繊維などにおいても帯電は事故や作業性の低下に繋がる大きな課題です。そこで、導電塗料をこれらに塗布することで、帯電を防止しています。導電塗料はその導電性から、例えば電子基板やディスプレイといった電子部品や、紙やプラスチックなどに対する導電回路を作成する導電材料としても好適です。

なお、導電塗料は塗布した後、硬化して膜を形成するため、長時間経過しても剥がれにくく、安定した導電性を維持できるのが特徴です。また、導電材料として使用する場合も、導電塗料ははんだ付けのように高温で加熱する必要がありません。このため、熱に弱い材料の上でも導電回路を形成できるメリットがあります。

導電塗料の原理

導電塗料の主な配合は、導電体の粉末である導電フィラーとバインダーとなる樹脂塗料、溶剤です。さらには、導電フィラーと樹脂塗料のなじみをよくする調整剤、界面活性剤などを含んでいます。このため、導電フィラーの導電性が導電塗料の導電性を左右します。

この導電フィラーとしては、導電性カーボンや金属粉末がよく用いられます。しかし、塗料に透明性を求める場合には、カーボンなどの材料は適しません。そこで、塗料に透明性を持たせる場合には、酸化スズ粉末などが使用されることもあります。

なお、製造の際には、導電性塗料の導電性を均一にするために導電フィラーを塗料中に十分に分散させることが必要です。具体的には、ボールミルなどを用いて微細化および均一分散させています。

導電塗料の種類

導電塗料の導電フィラーが導電性カーボンか金属かで分類されますが、この金属にも何種類かあり、金属の種類でも分類されます。導電フィラー使用される金属として、ニッケル、銀、銀銅が挙げられます。

ニッケルは、経年劣化しにくい素材で、優れた耐熱性をもちます。銀は、導電性が最も高いとされる材料です。銀を用いた導電塗料は、一般的な樹脂のほか、ガラスポリエチレンなどにも高い密着性をもつのが特徴です。銀は酸化しやすく変色する可能性があります。銀銅素材は、ニッケルよりも高い導電性を持ちます。これも銀を含むため、変色するおそれがあることがデメリットです。

また、導電塗料には、通常の液体状のものやパテ状のもののほかに、エアゾールスプレー状のものやタッチアップペン状のものもあります。エアゾールスプレー状のものは、柔らかい素材への塗布に適しており、一般的な樹脂のほか、軟質塩ビ、木、布、紙素材などの密着性が悪い素材にも塗布が可能です。また、タッチアップペン状のものは、一般的な樹脂のほか、ガラスやポリエチレン素材の塗布に好適です。

導電塗料のその他情報

導電塗料の身近な使用例

導電塗料は、日常生活にも役立っています。例えば、テレビなどのリモコンの修理などに使用可能です。リモコンのトラブルで多いのは、ボタンの反応が悪くなる現象です。これは何らかの理由で、リモコン内部での導電性が悪くなっていることに起因します。

そのため、内部の基板とボタンの押圧により基板に接触する導電性ゴムの導電性を回復すればよく、ここに導電塗料を塗布すれば導電性が回復します。この際、導電塗料の付着を良くし、導電塗料内に空気やホコリなどが入り込んで導電性が低くならないよう、塗布する前に汚れを取り除くことが必要です。

エタノールなどを使い、基板表面と導電性ゴム表面の汚れをきちんと拭き取ります。こういった作業には、細かな部分に塗布できるタッチアップペンタイプの導電塗料が便利です。

参考文献
https://www.edog.co.jp/paints/conductivity/
https://advancedcoatings.nagasechemtex.co.jp/
https://www.iskweb.co.jp/products/functional04.html
https://ameblo.jp/fjink/entry-12452001516.html
https://fuutotto.hatenadiary.jp/entry/2017/09/22/143600

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