除電装置とは
除電装置とは、物体に発生した静電気を除去する装置です。
イオナイザとも呼ばれます。静電気は装置の不具合や欠陥につながることもあるため、製品の製造過程で取り除く必要がある場合が多いです。除電装置では、イオンを発生させて静電気を取り除きます。
陽イオンと陰イオンを発生させられ、電荷の異なるイオンをぶつけることで中和します。導体にも絶縁体にも効果を発揮し、除電装置を設置しておくだけで継続的に静電気を除去することが可能です。
除電装置の使用用途
除電装置はさまざまな使用用途で利用されます。以下は除電装置の使用用途一例です。
1. 化学工業
主に製造工程での静電気トラブルを防ぐために利用されます。化成品の製造などで、使用されることが多いです。
完成した製品を機械から出すときや不要部分を排出する際に、静電気を帯びていると問題を発生する場合があります。静電気を帯びた製品同士が結合したり、排出部分に付着したりすることが多いです。十分に静電気を除去していないと、スムーズな工程を実現できません。
2. 電子製品
電子回路の静電気除去にも利用されます。回路が静電気を帯びると意図しない場面で放電してしまう場合も多いです。回路の損傷や不具合の原因となるため、除電装置を用いて静電気を除去します。
電子製品にはディスプレイやICチップ、半導体ウェハなどが含まれます。これらの製造には欠かせない装置です。
3. リラクゼーション
除電装置は、リラクゼーションなどを目的に使用される場合もあります。リラックス効果をもたらすとされるマイナスイオンを発生するため、リラクゼーションやストレス軽減に利用されることも多いです。
マイナスイオンは体内のセロトニンの分泌を促進し、リラックスや心地よい気分をもたらすと言われています。
除電装置の原理
除電装置は、イオンを利用して静電気を除去する仕組みです。イオンを発生させる方法の違いからさまざまな方式があります。ただし、総じてイオンをプラスイオンやマイナスイオンを発生させるというのは共通する部分です。
生成されたイオンは、周囲の空気中の微粒子や分子と相互作用し、吸着や中和の効果をもたらします。負イオンは空気中の浮遊粒子に吸着し、その重さを増して沈降させることが可能です。
除電装置の種類や設計によって、生成されるイオンの種類や量、および効果は異なります。また、除電装置は電源や制御回路を備えており、効果的なイオン生成や放出を制御するために使用されることが多いです。
なお、除電装置は空気中のイオンを生成する装置であり、空気の浄化や除菌効果を提供する製品です。具体的な効果や効能は、製品の性能や環境条件によって異なります。
除電装置の種類
除電装置はイオンの発生方法に応じて、いくつかの種類が存在します。特に代表的な方法は、コロナ放電式と放射線式です。
1. コロナ放電式
コロナ放電を用いてイオンを発生させ、静電気を除去する方法です。電極針に高電圧を加えると、コロナ放電と呼ばれる弱い放電が発生します。放電によって針の周りの空気にイオンが発生して、このイオンが正負を打ち消すことで中和することが可能です。
対象表面の静電気をほぼ0の状態まで除去することが可能な点が特徴です。ただし、電源には高電圧が必要になります。
2. 放射線式
放射線を利用してイオンを発生させ、静電気を除去する方法です。軟x線、α線、β線などが使われます。
放射線を照射することで原子は電離しイオンに変化します。放射線によって電子を放出すれば陽イオンに、電子を受け取れば陰イオンになるという仕組みです。個々で発生したイオンが正負を中和させることで、静電気を除去しています。
高エネルギーの放射線を使用するため、比較的効率的にイオンを生成することが可能です。これにより、短時間で多くのイオンを放出することができます。ただし、放射線は人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、放射線の漏れや適切なシールド化が重要です。
参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/fasys/special/static_elimination/ionizer/index.jsp
https://www.ekasuga.co.jp/study/electricity/electricity03/
https://www.kbrasch.co.jp/blog/2016/09/21/141#s08