木タール

木タールとは

木タールとは、木材の乾留によって生成される黒い液体のことです。

タールは、石炭や木材を乾留すると生成される粘り気のある黒い油状の液体を指します。石炭の乾留によりできたものは、コールタールと呼びます。

なお、乾留とは、空気のない状況下で固体の有機化合物を熱分解することです。乾留を行うと、もとの有機化合物は揮発性物質と不揮発性物質に分離します。

木材を加熱したときに発生する煙を冷却すると、粗木酢液と呼ばれる液体が生成されます。この液体を時間をかけて静置しておくと、木酢液と木タールに分離します。

木タールの使用用途

木タールには強烈な独特のにおいがあり、このにおいを利用した忌避剤が害獣対策として用いられています。害獣から農作物を守る方法として、物理的な障害を設ける以外に、忌避資材を用いる方法があります。これは、動物の嫌うにおいによって農地から害獣を遠ざけようとするものです。

木材の加熱時の煙がもとになっている物質なので、木をいぶした時のようなにおいが特徴です。野生動物にとって、木タールのにおいは、山火事などの危険な状況を連想させるといわれています。

害獣は、木タールのにおいがする場所は危険であると認知し、近寄らなくなるわけです。木タールには殺菌作用があり、医薬の分野では木タールを精製して得られる「木クレオソート」を主成分とした薬が、古くから用いられています。

木タールの特徴

長所

木タールの最も大きな特徴としては、その独特な強い香りです。これによりヘビやモグラなどの害獣を寄せ付けず、農作物を守ることができます。膜用を調節することで、効果を強められます。

また、イノシシやヘビ、モグラ、シカなどの害獣の他に、鳥やアリ、ムカデなど幅広い生物に対して効果があるとされています。天然素材であることから、人や土壌への影響の心配がありません。

短所

大きな特徴である焦げたような香りがとても強く、体調に影響を及ぼす可能性があるため、屋内での使用はできません。また、素手で触れるとかぶれてしまう可能性があります。軍手などを使用し、素手で直接触れないようにすることが重要です。

そのほか、植物に接触すると生育阻害を起こすため、農耕地での使用も不可能です。

木タールの種類

木タールを作成する際に、同時に得られる木酢にも一部溶けています。これを軽木タールや可溶性木タールと呼び、下層に沈む木タールを重木タールや沈底木タールと呼びます。

市販の木タールを使用した忌避剤にはさまざまなタイプがあり、液体状のものの他に、撒きやすい粒状のものや扱いやすい固形のものがあり、用途や使用量にあわせて使い分けます。

木タールの選び方

木タールを使用した害獣忌避剤にはさまざまなタイプがあり、使用する場所や環境によって使い分けます。忌避剤のタイプや忌避したい対象の生き物によって使用量、使用間隔を調節し、使い分けることが大切です。

液体タイプは粘度が高く、雨による影響を受けにくいという特徴があります。反対に、固形タイプは雨により成分の流出が起こりやすいため、季節や地域の特性などに合わせ選択するようにします。

木タールの使い方

1. 液体タイプ

大さじ1杯程度を間隔をあけて置いていきます。この時の間隔は対策したい生き物によって変わり、多くの生き物は田畑の境界に2m程度の間隔をあけて置きます。

モグラは地下から入り込むため、畝間に2m程度の間隔をあけて置き、ムカデや小動物は住み着いていることの多い屋根裏や倉庫から徐々に範囲を広げていきます。

2. 固形タイプ

固形タイプは雨により成分が流出する可能性が高いため、容器の上に設置します。侵入を防ぎたい場所を囲むように配置します。

3. 粒状タイプ

粒状タイプはたくさん撒くほど効果が強くなります。散布量の目安は製品によって異なりますが、植物への影響もあるため周囲の状況には注意する必要があります。

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