非破壊糖度計とは
非破壊糖度計とは、果物・野菜などの測定対象を切らずに糖度を測定できる糖度計です。
一般的な糖度計は、液体中の固形物が大きいほど屈折率が大きいという原理を利用し、果汁などの液体サンプルを通過する光の屈折率を測定して糖度を求めます。
一方、非破壊糖度計は、糖が特定の波長の光を吸収しやすいという原理を利用し、果物や野菜の表面に光を当てて光の減衰量を測定して糖度を求めます。
非破壊糖度計の使用用途
非破壊糖度計は、果物や野菜の糖度を測定する際に使用されています。一般的な糖度計は、測定対象を切らないと糖度を測定することができません。しかし、一度測定に使ったサンプルは、商品として使えなくなります。
ブドウのような房に何個も実がついている果物だと、糖度計測用の実として付けておくことは可能ですが、梨やメロンのような対象物が比較的大きいものは、1個をサンプルとして切って測定すると損失が大きくなります。
その点、非破壊糖度計は測定対象を全く傷つけることがないため、サンプルではなく出荷商品の糖度を直接測定することができます。
非破壊糖度計の特徴
長所
ハンディタイプの非破壊糖度計は、果実などが樹になっている状態でも、糖度を測定可能なため、果物や野菜の収穫時期を正確に把握できます。糖度を測定した後、収穫しそのまま出荷に移せるため、等級や糖度を重視としている作物の素早い対応が可能です。
短所
従来の屈折式の糖度計と比較すると、まだまだ高価です。同じ非破壊糖度計においても、種類によって価格が大きく異なります。計測する位置によって誤差が生じるため、数箇所を計測して平均値を取らないといけません。皮の厚い果物や対象物が小さすぎる果物だと、計測不可能になる糖度計も存在します。
非破壊糖度計の種類
非破壊式糖度計には、近赤外線分析法と散乱光路長補正吸収方式の2種類の方式があります。前者は、近赤外光を測定対象に照射することにより、特定の波長の光のみが吸収され、その吸収された光の強度が、物質の濃度に比例します。その濃度により、糖度が決まる仕組みです。
後者は、特定の波長の光を測定対象に照射し、内部で散乱する光を照射した点から距離の異なる2か所で観測し、その結果を基づき、他の測定法と合わせたうえで糖度を計測します。
また、ハンディタイプのものと、非破壊式の光センサーによる選果機があります。ハンディタイプのものは持ち運びが簡単で、収穫前に計測することが可能です。選果機の場合だと、全量の果物や野菜を自動で素早く計測できます。
ハンディタイプの糖度計には、トマト用・ぶどう用といったように測定対象の種類によって糖度計が異なるものも存在します。作物の種類によっては、糖度以外に酸度や内部障害度、リコピン量が同時に計測できるものもあります。
非破壊糖度計の選び方
収穫前の作物を計測するのであれば、ハンディタイプのものを選ぶと良いです。作物全部の糖度を計測する必要があれば、光センサーによる選果機がおすすめです。この場合、大掛かりで高価なため、地域が一体となって作る作物であるほど有効に利用できます。
トマト農家はトマト用の糖度計など、専門分野における糖度計を選ぶことも可能です。
非破壊糖度計の使い方
果物や野菜などの対象物の表面にセンサーを当て、ボタンを押すことにより計測を行います。数秒後には、画面に表示された数値を読み取ることが可能です。
測定のコツとしては、測定対象とサンプルステージに隙間のないように密着することです。離れていると、正確な測定結果が得られません。
また、測定対象と機械の温度に温度差がないような時間帯を選びます。太陽光が直接当たると光が強すぎて測定値に誤差が生じるため、当たらないように注意が必要です。
非破壊糖度計のその他情報
糖度計における注意点
糖度計は、厳密にいえば、測定対象の濃度を計測しており、糖分が0%であっても糖度は0ではないということです。レモンを例にとると、レモンは糖度が比較的高いのですが、糖分が多いわけではありません。
非破壊糖度計がより身近に使えるよう、さらなる研究が必要です。