セルトレー

セルトレーとは

セルトレー

セルトレー (セルトレイ) とは、小型のポット (セル) が多数繋がったトレイ状の農業資材です。

別名でプラグトレイとも呼ばれています。種を畑に植えても思うように発芽しない場合や発芽しても生育にばらつきがある場合などに、セルトレーを使用すると解決できる可能性が高いです。

セルトレーの使用用途

セルトレーは、野菜や花の種まきから畑に植え替える直前までの期間、作物を栽培するために使用します。

セルトレーは各ポットに土を入れ、穴をあけて種をまき、上から土をかぶせれば、あとは通常通りの方法で栽培ができます。このように使用方法が簡単であるため、気軽に導入しやすいです。

セルトレーの特徴

長所

1. 省スペースで栽培できる
セルトレーを用いることで、狭いスペースでもたくさんの苗を育てることができます。露地に直接種をまく場合、収穫時までを想定して株間を広くとる必要があります。セルトレーを活用すれば、狭いスペースでも苗の栽培が可能です。

また、1つの苗に対して必要な用土が少ないため、コストの削減にも繋がります。

2. 状態の良し悪しで選別ができる
セルトレーは各ポットが隔離されているため、成長度合いが良好な苗だけを選んで、畑に移植することが可能です。作物栽培の初期段階においては、種によってはうまく発芽しなかったり、成長速度にばらつきが見られたりすることは多々あります。

セルトレーを用いれば、状態の良いものを選んで移植できるので、移植後の歩留まりも良くなります。

3. 病害虫の被害が少ない
セルトレーに対しては新しい土を用いることが多いため、雑草や病害虫の被害を受けにくいこともメリットとして挙げられます。露地に直接種をまく場合、土壌中の病害虫や雑草を全て取り除くことは困難なため、病害虫の影響は避けられません。

セルトレーを用いて新しい土のみで育苗することで、雑草や病害虫の影響を最小限に抑えることが可能です。

4. 軽量で持ち運びしやすい
セルトレーは軽いため、持ち運びが簡単です。そのため、環境の影響を受けやすい発芽直後の苗を、適切な環境下に適宜移動させることが可能です。露地に種をまいた場合、温度や湿度などの環境要因の影響により、発芽率が下がったり、発芽したとしても十分に育たなかったりする場合もあります。

セルトレーに種をまけば、発芽前後のデリケートな作物を必要に応じて移動させつつ、適切な環境下で育てることができます。

短所

1. 水や肥料が不足しやすい
セルトレーのデメリットとしては、水や肥料が不足しやすいことが挙げられます。各ポットあたりの土の量が少ないため、保水力が乏しく肥料も少量しか散布できないからです。

また、ビニールハウス内にセルトレーを設置する場合は、雨による給水もありません。水や肥料が不足しないよう、こまめに確認しながら管理することが大切です。

2. 根巻きが発生しやすい
セルトレーの使用にあたって、各ポットの容量はそれほど大きくないため、根巻きのリスクは避けられません。根巻きとは、根の伸長が妨げられることで根が内側に巻いてしまう現象を指します。根巻きを起こすと、露地への移植後も根が広がりにくく、作物の生育が悪くなります。

セルトレー上で根巻きを防ぐためには、予定していたサイズまで成長したら、時間を置かずに露地へ移植することがポイントです。

3. 不向きな作物もある
セルトレーでの育苗に適さない作物もあります。具体的には、大きく育てたい苗や双葉の大きい作物、根野菜などがあげられます。これはセルトレーの性質上、各ポットの容量やポット同士の距離に限りがあるため、根や葉がかさ張る作物にとっては窮屈だからです。

セルトレーでの栽培を検討する場合は、栽培が可能な作物かどうか事前に確認しておくことが大切です。

セルトレーの種類

セルトレーの種類は、穴の数と大きさによって様々です。穴が大きいものほど穴の数が少なく、穴が小さいものほど穴の数が多いのが特徴です。

また、セルトレーのサイズは、外寸28cm×54.5cmが主流となっています。セルトレー自体は耐久性が優れていないため、土が水分を含んだ状態で持ち運ぶと破損等の原因になります。そのため、セルトレーを水稲用育苗トレーに入れて管理する方法がおすすめです。

一般的なサイズの水稲用育苗用トレーは内寸28cm×58cmで、セルトレーの収納にちょうど良い大きさです。

セルトレーの選び方

セルトレーを選ぶ際には、栽培する作物がどの程度の大きさになるまでセルトレーで育てるのか、あらかじめ決めておくことが重要です。これはセルトレーでの栽培期間中に、根の張りや葉の重なりに無理が生じることを防ぐためです。根や葉に対して穴の容量が小さすぎると、植物の成長を妨げてしまう可能性があります。

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