接ぎ木テープ

接ぎ木テープとは

接ぎ木テープ

接ぎ木テープとは、接ぎ木を行う際に、接ぎ合わせる枝や芽などの移植する部分 (接ぎ穂) と接ぎ木をされる台木の接合部分を巻きつけるために使用するものです。

接ぎ木とは植物の繁殖法の1つで、繁殖させたい植物の枝や芽を切り取り、これを別の植物に接ぎ合わせることで、新しい個体を作りだす増殖技術です。土台となる台木を接ぎ木ナイフで削り、接ぎ穂を入れる切り込みを作ったところに先端を削って形を整えた接ぎ穂をさし込みます。

植物のもつ治癒力を利用した繁殖方法で、それぞれの形成層と呼ばれる新しい細胞を作りだしている組織が密着していなければなりません。接ぎ木テープは、人でいうところの絆創膏のようなもので、接いだ部分に巻くことで固定し、植物同士の活着を早めます。

テープ以外にも、クリップタイプやチューブタイプのものなどがあり、接ぎ木方法によって使い分けています。

接ぎ木テープの使用用途

接ぎ木テープは、さまざまな接ぎ木 (切り接ぎ、合わせ接ぎ、割り接ぎ、呼び接ぎ、芽接ぎなど) を成功させるために使用します。接ぎ木のメカニズムは、形成層を密着させることで、植物同士が癒合することにあります。枝や茎の外周の部分には、緑色をした形成層と呼ばれる水や栄養分の経路となる新しい細胞を生成する組織があります。

接ぎ穂と台木のお互いの形成層を合わせた状態で固定しておくと、最終的に両者は癒合し、経路がつながります。接ぎ木を成功させるには、接合部分を動かないように固定するだけでなく、切り口が雨にぬれたり、雑菌が入ったりしないように保護することが重要です。

また、形成層がつながると「カルス」と呼ばれる遺伝情報をもつ、かさぶたのようなものが形成されますが、カルスが作られ固定されるまでは、切り口を乾燥させてはいけません。市販されている接ぎ木テープは、接ぎ口部分の乾燥や細菌の繁殖から守る効果があるため、非常に有用です。

接ぎ木テープの特徴

長所

接ぎ木テープの長所は、接ぎ木の接合部分を乾燥や細菌から守り、接ぎ木の成功率を向上させることです。接ぎ木テープは、植物の接ぎ木部分を固定し、保護します。接ぎ木は接ぎ穂と台木の形成層を合わせることで、ひとつの個体を作りだします。

接ぎ木が失敗する原因は、雨風で接合部分がずれたり、形成層が活着しカルスが形成される前に接ぎ口が乾燥してしまったりすることが多いです。薄く伸縮性のある特殊フィルムで作られている接ぎ木テープは、枝や表皮に密着しやすい特徴があります。

ぴったりと張り付いて保湿性を留め、雨水の浸み込みも防ぎます。芽は柔らかいテープを突き破って出ることで、生長を阻害しません。紫外線で自然劣化する商品は、取り除く手間も不要です。

短所

接ぎ木テープの短所は、自然劣化しない種類の場合は、接ぎ口が完全に接合したあとにテープを取り外す必要があることです。幹に食い込んで枯れてしまうこともあるため、必ず取り除かなければなりません。

接ぎ木テープの種類

接ぎ木テープの素材には、紙や合成樹脂、低密度ポリエチレン、軟質塩化ビニルなど、さまざまな種類があります。今日最も注目されているのは、プラスチックとゴムのミックスのような素材の合成樹脂のテープです。

代表的な商品として、メデールが挙げられます。伸縮性と粘着性があるため、手で伸ばしながら締めつけて巻けば、そのまま固定が可能です。初心者でも簡単に巻くことができます。

接ぎ木テープの選び方

接ぎ木テープを選ぶときは、接ぎ木の種類を考えて選択します。

1. 大きさ

テープの幅には15mm、25mm、30mmなど、いろいろな大きさのものがあります。接ぎ木をしたい植物の茎や枝が細くて華奢なものが多い場合は、小さいサイズを選ぶのがおすすめです。

2. 素材

素材は、取り扱いの容易さや難しさに直結しています。合成樹脂の粘着性のあるテープは、巻きながら固定できるため、初めて接ぎ木をする人でも作業が行いやすいです。

接ぎ木テープのその他情報

1. 接ぎ木クリップ

サカタのタネなどから、接ぎ木用のクリップが販売されています。接ぎ木の接合部分をクリップで挟むだけの簡単に作業ができる資材です。一箱に200個前後と容量も多く、野菜の接ぎ木など、早い作業スピードで大量の接ぎ木を行いたい場合に便利な商品です。なお、クリップは何度でも使用できます。

2. 接ぎ木チューブ

透明のチューブのような形の入れものを、接ぎ木部分にはめるタイプの資材です。ホルダーの中に水滴がたまることで、接ぎ口の乾燥を防ぎます。ホルダーは透明で、外から接いだ部分の活着をチェックすることができます。トマト、ナス、ピーマンなどの野菜の接ぎ木に使用され、軟性樹脂で作られたホルダーは茎が太くなると自然に外れるようになっています。

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