アミノシラン

アミノシランとは

アミノシランとは、アミノ基を有するケイ素化合物一般を指す総称です。

アミノ基とは、一般式-NH2、-NHR、-NRR’で表される官能基です。特に官能基にアミノ基を持つシランカップリング剤の総称 (アミノシランカップリング剤) を指すケースが多くあります。

アミノシランの使用用途

アミノシランに分類される化合物群は、主に半導体製造やシランカップリング剤などにおける用途があります。

1. 半導体製造

半導体製造に使用される主なアミノシランの構造

図1. 半導体製造に使用される主なアミノシランの構造

アミノシランは、半導体製造において、化学気相成長 (CVD) を利用した酸化ケイ素膜の成膜に用いられる物質です。具体的な物質の例としてトリスジメチルアミノシラン (3DMAS) 、ジイソプロピルアミノシランや、ビス (tert -ブチルアミノ)シラン (BTBAS) などが挙げられます。

2. アミノシランカップリング剤

シランカップリング剤に用いられる主なアミノシランの構造

図2. シランカップリング剤に用いられる主なアミノシランの構造

アミノシランカップリング剤の主な用途は、ガラス繊維の表面処理剤、樹脂改質剤、密着助剤などです。特に、ガラス繊維の表面処理では、ガラス繊維と樹脂を化学結合させることで、機械的強度や耐熱性、耐水性、電気特性などを向上させる硬化があります。

具体的な物質の例としては、3-アミノプロピルトリエトキシシランやN-ベンジルトリメチルシリルアミンなどが挙げられます。

3. その他

半導体やカップリング剤以外のアミノシランの用途では、塗料や接着剤、コーティング剤への添加剤やプライマなどが挙げられます。フェノール樹脂バインダーへの添加剤として用いられたり、鋳物用樹脂であるフェノール樹脂、フラン樹脂およびメラミン樹脂への添加剤としても有用です。

合成化学の分野において、他の有機ケイ素化合物同様に合成材料に用いられることもあります。

アミノシランの性質

3-アミノプロピルトリエトキシシランの構造

図3. 3-アミノプロピルトリエトキシシランの構造

アミノシランの代表的な物質である3-アミノプロピルトリエトキシシラン (英: 3-Aminopropyltriethoxysilane、CAS登録番号: 919-30-2) は、分子量221.372、融点-70℃、沸点119℃であり、常温での外観は液体です。

密度は0.964g/mL、引火点は96℃です。水、エタノール及びアセトンに溶解します。

アミノシランの種類

アミノシランの化合物群は、主に研究開発用試薬製品やシランカップリング剤などとして販売されています。

1. 研究開発用試薬製品

研究開発用試薬製品としては、代表的な物質である3-アミノプロピルトリエトキシシランやN-ベンジルトリメチルシリルアミンをはじめ、多くの物質が販売されています。実験室で取り扱いやすい容量で提供されていますが、物質によって100gや500gなどの比較的大きな容量で販売されているものから、1gや5gなどの小容量で販売されているものまで、さまざまです。通常、暗所保存とされています。

2. シランカップリング剤

アミノシランは、工業向けシランカップリング剤として多くの製品が販売されています。荷姿・容量の種類は、1kg、5kg、16kg、180kg、190kg、950kgなど、さまざまなものがあります。代表的な物質は、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシランなどです。

アミノシランのその他情報

3-アミノプロピルトリエトキシシランの有害性情報

アミノシランの代表的な物質である3-アミノプロピルトリエトキシシランは人体への有害性が指摘されている物質です。GHS分類では下記のように分類されています。

  • 急性毒性 (経口) : 区分4
  • 皮膚腐食性・刺激性: 区分1
  • 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: 区分1
  • 皮膚感作性: 区分1
  • 特定標的臓器・全身毒性 (単回ばく露) :  区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
  • 特定標的臓器・全身毒性 (反復ばく露) : 区分2 (呼吸器)

取り扱いの際は、適切な局所排気装置や全体換気を設置し、保護衣や保護メガネなどの個人用保護具を使用することが必要です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/919-30-2.html

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