制振鋼板

制振鋼板とは

制振鋼板には、制振材料の樹脂を鋼板の表面に接着したり、または2枚の鋼板の間に制振材料を挟んだりして振動減衰を大きくした複合型の制振鋼板と、亜鉛合金などで振動エネルギーを吸収する制振合金があります。鋼板の共振を抑制して、振動エネルギーを熱に変換するもので、主として機械類の騒音振動低減に使用されます。制振材料には、粘弾性を持った粘着剤、ブチルゴム、及び不織布、塗料、合金などを使います。

制振鋼板に使用される鋼板は、熱間圧延鋼板、冷間圧延鋼板、電気めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、及び合金めっき鋼板、合金鋼板などの種類があり、鋼板の利点を損なうことなく、用途に応じて選択できます。

制振鋼板の使用用途

騒音を発生する機械などのメーカーが、騒音低減のため外板などに独自の制振材を貼り付ける場合もありますが、専門メーカーから販売されている各種の制振鋼板を使用することが一般的になっています。

制振鋼板の実用例は、自動車関連では、オイルパン、2輪車のチェーンカバー、ダッシュボード、ドアパネル、ボンネットルーフ、カムカバーなどがあります。家電では、洗濯機のボディ、冷蔵庫のボディ、エアコンの外板、スピーカのフレームなどです。また、建築では、屋根材に使用して雨の音を小さくし、合わせて断熱強化にもなります。病院のカーテンレールにも使われます。

制振鋼板の原理

制振鋼板のうち、制振材料が鋼板により拘束されるものは拘束型と呼ばれます。鋼板の曲げ振動により制振材の曲げ変形が生じて、振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることで、振動が低減します。鋼板の強度、靭性や加工性、溶接性などの利点は変わらずに高い制振性を有しています。自動車や家電、建築などに使われているのはこのタイプです。また、非拘束型の制振鋼板は、制振材が拘束されないタイプで、伸縮変形により振動エネルギーを吸収します。

制振合金は、材料自体が振動吸収性が優れており、振動を熱に変換するタイプで、工作機械の土台などに使う黒鉛鋳鉄や、コンピュータの周辺機器などに使うアルミニウム・亜鉛合金などが該当します。振動負荷を受けると合金の内部に双晶活動が発生することで、振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、制振効果が出てきます。この合金は軟鋼と同等の引張強度や加工性を有しています。また、弾性限度内で振動の振幅が大きいほど制振する効果が大きい特色があります。

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