MDF

MDFとは

MDFとは、中密度繊維板 (Medium Density Fiberboard) のことで、木材繊維を樹脂で成形した木質材料です。

MDFは、製材残渣や間伐材などから繊維を取り出し、合成樹脂接着剤とともに熱圧成形した均質な板材として定義されます。JIS A 5905に準拠した密度範囲を持ち、面内での物性ばらつきが小さい点が特徴です。微細な繊維構造により切削やエッジ加工に適しています。高い平滑性を持つため、塗装や化粧シートの基材として有利です。また、天然木材と比べて節や導管の影響が少なく、寸法安定性に優れます。

低ホルム仕様や難燃・耐湿タイプなどの規格製品も流通し、家具・建築内装・音響機器など寸法精度と表面品質が求められる用途に広く用いられます。また、森林認証材の活用など環境配慮も進んでいます。

MDFの主な使用用途

MDFの主な使用用途を以下に示します。

1. 建築・建材分野

建築・建材分野では、建築物の内装部材や造作工事で重要な役割を担います。

室内ドアや幅木、カウンターの基材に広く採用され、均質で割れにくい特性からCNCなどによる精密加工でも安定したエッジ品質が得られます。さらに塗装下地としても優れ、塗料の吸い込みが均一なため美しい仕上がりを実現します。また化粧板やフローリングの基板にも活用され、その平滑性が品質向上に寄与します。なお、耐湿性や難燃性を高めた製品もあり、用途に応じて選択されます。

2. 家具・什器分野

家具・什器分野では、キャビネットの扉・棚板・テーブルトップの下地・店舗什器の面材などに不可欠な材料です。

薄物から厚物まで規格が豊富で設計自由度が高く、表面にメラミンや突板などをラミネートすることで、意匠性と耐久性を両立できます。ただし、ビス保持力はパーティクルボードに劣る場合があるため、下穴加工や専用ねじで信頼性を確保します。近年は低ホルム仕様が普及しており、居住空間の空気質への配慮が求められる用途にも広く対応しています。

3. 工業・特殊分野

工業・特殊分野では、緻密さと加工精度の高さを活かし、専門性の高い用途に採用されています。

代表例としてはスピーカーの筐体が挙げられ、内部損失が高く、不要な箱鳴りを抑制し音響性能に貢献します。また高密度MDFは、CNC切削で安定した寸法精度を維持できるため、自動車などのデザインモックアップや真空成形用の母型、治具にも用いられます。切削時の管理が容易で、接着積層後の歪みが小さい点も、高精度な加工が求められる工業用途での大きな利点です。