フォトマスク

フォトマスクとは

フォトマスクとは、半導体や液晶ディスプレイの製造において、基板上に微細な回路パターンを転写するために使用される原版です。

製造世代によって光学/DUV用の透過型やEUV用の反射型が用いられます。DUV露光用マスクは石英ガラス基板とクロム膜で構成され、EUV用露光用マスクは超平坦シリコン基板と複数の反射膜と吸収層で構成されます。露光装置を通じて光を照射することで回路パターンをレジスト膜に正確に転写します。

フォトマスクは、半導体デバイスの微細化が進む中で極めて重要な役割を担います。特に高精度な欠陥制御や膜厚均一性が求められる最先端半導体プロセスではEUV露光用マスクが主流です。一方で、10 nm台より以前はDUV露光用マスクも広く使われています。

フォトマスクの使用用途

フォトマスクは、微細なパターンを必要とする産業で幅広く利用されます。以下に代表的な用途を示します。

1. 半導体

集積回路やメモリ、プロセッサの製造には多数の層が必要であり、それぞれの層を形成するために専用のフォトマスクが使われます。高精度なマスクを使用することで線幅の均一性や位置合わせ精度が確保され、最先端デバイスの量産が可能になります。

2. ディスプレイ

液晶パネルや有機ELディスプレイの画素構造を形成する際にフォトマスクが利用されます。高解像度ディスプレイでは微細で均一なパターンが必要であり、マスクの品質が画質や寿命に直結します。大型基板対応のマスクはディスプレイ産業に欠かせない存在です。

3. MEMS

加速度センサーや圧力センサーなどのMEMSデバイスは、微細な構造をシリコン基板上に形成する必要があります。フォトマスクを用いたリソグラフィとエッチングの複合工程により、微細かつ複雑な三次元構造を高精度に作り出すことができます。

4. 太陽電池

シリコン系や薄膜型太陽電池の製造では、電極パターン形成のためにフォトマスクが利用されます。均一なパターン形成によって発電効率が高まり、長期的な信頼性向上にもつながります。特に高効率セルの開発には高精度マスクが不可欠です。