混合吐出機とは
混合吐出機とは、2種類以上の液体やペースト状の材料を所定の比率で混合しながら同時に吐出する装置です。
主に樹脂や接着剤、シーリング材などの材料を正確に混合・塗布する目的で使用されます。内部にはギアポンプやピストンポンプなどの定量供給機構と、混合方式に応じた混合機構が組み込まれています。混合方式には、撹拌翼によって能動的に混合するダイナミックミキサー型と、内部の固定羽根構造によって受動的に混合するスタティックミキサー型があり、材料の粘度や反応速度に応じて最適な方式が選択されます。
手作業による混合と比較して、吐出精度の向上、作業効率の改善、不良率低減、品質安定化といった効果が得られます。そのため、自動車から電子機器、建築、さらには航空・宇宙分野まで幅広い製造現場で不可欠な設備として普及しています。
混合吐出機の使用用途
混合吐出機は、複数材料を正確に混合・塗布する必要がある分野で広く使用されています。以下のような業界ごとに導入が進められています。
1. 自動車
自動車製造では、車体の接着やシーリング、バッテリーパックの組立において混合吐出機が活用されます。例えば、2液性接着剤を安定して混合・塗布することで、ボディの剛性確保や水密性の向上を実現します。また、EV用バッテリーでは、セル間の熱伝導材や封止材の塗布にも使用され、安全性と耐久性を高める役割を担います。
2. 電子機器
電子機器の製造では、基板のポッティングや封止、コネクタ部の接着に混合吐出機が利用されます。微細な部品にも比較的均一に材料を塗布でき、気泡混入の抑制や絶縁性能の確保につながります。特に高性能半導体や通信機器の分野では、熱対策や耐環境性を確保するための高度な塗布技術が求められています。
3. 建築・土木
建築現場では、コンクリート補修用のエポキシ樹脂やシーリング材の施工に混合吐出機が用いられます。現場での人手混合では硬化不良や品質のばらつきが生じやすいため、自動的に適切比率で混合できる装置は施工品質の安定化に寄与します。また、大規模建築物やインフラ補修工事において、効率的かつ高耐久な仕上がりを実現します。
4. 航空・宇宙分野
航空機や宇宙機器の組立では、軽量かつ高強度の接着・封止材が用いられます。混合吐出機はこれらの材料を精密に混合し、過酷な環境でも安定した性能を発揮できる接合を可能にします。特に複合材の接着や耐熱シーリングなど、信頼性が最重要となる領域で活躍しています。