粉末成形金型とは
粉末成形金型とは、粉末材料を押し固めて特定の形状にする金型です。
粉末成形とは、目的の形状に作られた金型の空間部分に原料粉末を入れ、強い圧力をかけて押し固める技術です。押し固められた状態の中間物を加熱して焼結し、製品として取り出します。複雑な形状の部品を、高い寸法精度で大量生産できる点が特徴です。
粉末成形金型は、粉末の枠となるダイ、上から圧力を加える上パンチ、下から製品を支える下パンチという3つの主要部品で構成されます。複雑な形状の製品を作る場合、複数のパンチを組み合わせて使用することもあります。金型には、高い圧力に耐えるための硬度と強度、粉末との摩擦による摩損を防ぐ耐摩耗性が不可欠です。また高精度な製品を生み出すために、ミクロン単位で精密に寸法を管理する必要があります。
粉末成形金型の使用用途
粉末成形金型は以下のような製品に応用されます。
1. 自動車部品
自動車には数万点もの部品が使われており、その一部は粉末成形で作られることがあります。例えば、エンジンの吸排気バルブガイドや、タイミングプーリーといったエンジン部品が代表的です。また歯車やサスペンション部品など、高い強度と耐摩耗性が要求される重要な部品にもこの技術が活用されます。
2. 機械部品
自動車以外の分野でも、様々な機械の心臓部で粉末成形部品が活躍します。電動工具の内部ギアや、建設機械・農業機械に使われる油圧機器の部品、ベアリングなどがその一例です。特に、焼結時にできる製品内部の微細な隙間に潤滑油を含ませたオイルレスベアリングは、粉末成形ならではの製法によって実現された製品です。
3. 電子部品・その他
金属だけでなく、磁石の原料となる磁性材料や、絶縁性を持つセラミックスなどの成形にも粉末成形の技術が応用されます。スマートフォンやパソコンなどに内蔵されている小型モーターには粉末成形で作られた磁石が不可欠です。またドリルやエンドミルといった切削工具の素材となる超硬合金も、粉末成形と焼結を経て製造されます。