タンク撹拌機とは
タンク撹拌機とは、様々な産業用タンクに設置して利用することができる撹拌機です。
タンク式撹拌機は、撹拌機の動力であるモーター、撹拌機をタンクへ取り付ける取付部、モータと撹拌体をつなぐシャフト (軸) 、内容物を混ぜる撹拌体から構成されています。撹拌体は、撹拌翼、撹拌羽根、撹拌子、インペラなどと呼ばれる場合もあります。
通常、タンク上部に取り付ける製品が一般的ですが、タンクの底部に設置する下部型の撹拌機もあります。下部型は、沈む粉を強制的に巻き上げることができるため、沈降しやすい混合物の撹拌に特に効果的です。様々な製品があり、使用するタンクの大きさ、内容物の比重、粘度、大きさなどの性状や、撹拌目的などに合ったものを選定することが重要です。利用シーンに合わせて、防爆性製品やサニタリー面に配慮した製品も提供されています。
タンク撹拌機の使用用途
タンク撹拌機は、下記のような用途のほか、塗料などの撹拌や、水処理施設のタンクなどにも利用されています。
1. 化学・医薬品
タンク撹拌機は、様々な薬品を取り扱うタンクで利用されており、化学工業や医薬品製造などでの活用事例があります。タンク撹拌機を用いてスラリーやコロイド溶液などの沈殿や沈降を防止し、生産性や品質を向上させることができます。
硫酸、苛性ソーダ、塩化鉄、塩酸、次亜塩素酸ソーダなど、様々な薬品への耐久性があり、希釈・濃縮・混合・溶解・中和・反応・晶析・抽出などの工程にて、活用が可能です。医薬品製造では、原薬工程の反応・晶析・培養などの工程で特に利用されています。特に医薬品の製造を想定した製品機種では、サニタリー性に配慮し、異物汚染を防ぐ製品設計となっています。
2. 製紙
製紙業界において、パルプの分散や、黒液やコーティング剤の溶解・希釈・貯留用として撹拌機が利用されています。槽の側面に取り付ける横型撹拌機、槽の上部に取り付ける竪型撹拌機があります。
質の高い紙を生産する上ではパルプ液を均一に分散させることが重要です。パルプの種類、濃度、繊維の長短・単位液量当たりの動力、槽内抵抗物の有無などに合わせて適切に撹拌機を選定することが必要です。黒液やコーティング剤の撹拌においては、目的・濃度・比重などに合わせた製品が使用されます。
3. 食品
食品製造業において、タンク撹拌機は、調味液や飲料、各種食品原料の製造工程で多く利用されます。液体と液体の混合、固体と液体の混合などを行う場合などがあります。醤油やジュースなどの比較的粘性の低い液体から、マヨネーズ、チョコレート、ねり胡麻などの高粘性の内容物まで様々な用途で利用可能です。
様々な撹拌体の種類の中から撹拌する内容物に合ったものが利用されます。また、サニタリー性に配慮された部品設計や防錆処理が行われるほか、潤滑剤には食品機械用のグリース、オイルなどが用いられます。