リン酸塩被膜加工とは
リン酸塩被膜加工とは、金属の表面にリン酸塩の膜を生成する化成処理サービスです。
リン酸塩を主成分とする処理液に金属製品を浸漬させ、化学反応を利用して表面に不溶性の結晶性被膜を形成する技術です。パーカーライジングと呼ばれることもあります。生成される被膜は肉眼では見えないほどの微細な凹凸を持つ多孔質な構造が特徴であり、塗料や油を保持しやすくする役割を果たします。
また、リン酸塩被膜は化学的に安定しているため、金属の表面を錆びにくい状態に変える効果も有します。処理液の成分によって、塗装下地に適したリン酸亜鉛被膜や、耐摩耗性に優れたリン酸マンガン被膜などの種類があります。リン酸塩被膜加工は金属製品に防錆性や塗装密着性を付加するために、幅広い産業分野で活用される表面処理技術です。
リン酸塩被膜加工サービスの用途
リン酸塩被膜を代行する加工サービスが存在します。そのようなサービスは以下の場面で活用します。
1. 塗装下地処理
リン酸塩被膜の最も代表的な用途が塗装の前処理です。表面の微細な凹凸が塗料の食いつきを良くするアンカー効果を生み出します。この効果により、金属と塗膜の密着性が飛躍的に向上して塗装の剥がれを防ぎます。万が一塗装面に傷がついても、被膜が錆の広がりを抑制する効果も期待できます。
2. 防錆・耐食
リン酸塩被膜が金属の表面を覆うことで、錆の原因となる水や酸素から金属を保護する役割を果たします。被膜単体でも一定の防錆能力がありますが、防錆油を塗布することでその効果はさらに高まります。被膜の多孔質な構造が油をしっかりと保持するため、長期間にわたって潤滑性と防錆性を維持することが可能です。
3. 塑性加工
塑性加工とは、金属に大きな力を加えて引き伸ばしたり、曲げたりして成形する加工方法です。この加工時に金属と金型との間で発生する強い摩擦を軽減する潤滑下地としてリン酸塩被膜が利用されます。リン酸塩被膜と金属石鹸と呼ばれる潤滑剤を組み合わせると、両者が化学的に反応して強固な潤滑層を形成します。この潤滑層が加工時の焼き付きや金型の摩耗を防ぐ仕組みです。