防爆はかり

防爆はかりとは

防爆はかりとは、爆発の危険がある環境で安全に使用できるように設計された計量器です。

可燃性ガスや粉塵が存在する場所で使用されることが可能なはかりです。火花や熱の発生を最小限に抑えることで、爆発のリスクを防止します。主に化学工場や石油精製施設など、爆発性の物質が取り扱われる場所で使用されます。

防爆はかりの使用用途

防爆はかりは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 化学工業

化学工場では様々な化学物質が製造・処理されます。その多くは可燃性や揮発性があり、適切な取り扱いがされないと爆発の危険性が生じます。例えば、有機溶剤や燃料、ガスなどを扱う場合、火花や過剰な熱が発生しないようにすることが重要です。

防爆はかりは、これらの危険物を精密に計量する際、静電気や火花を防ぎ、安全性を確保します。製造工程における材料の正確な重量管理が可能で、生産品質や効率向上にも寄与します。

2. 製薬業

製薬業界では非常に高精度で成分を計量する必要があります。また、製薬工程で使用される溶剤や粉末状成分は、爆発性を持つ場合があります。正確な成分の配合は薬品の品質や効果に直接影響するため、防爆はかりで安全かつ正確に計量することも多いです。

3. 塗料・コーティング業

塗料やコーティング材には有機溶剤などの可燃性物質が多く含まれています。これらの溶剤は揮発性が高く、火花や静電気によって容易に引火するリスクがあります。したがって、塗料工場では製品の混合や充填の際に防爆はかりを使用する必要があります。

また、製品品質を維持するために、成分比率を厳密に管理する必要があります。防爆はかりによって作業員の保護と爆発リスクの低減を実現することが可能です。

4. 鉱業

鉱業や採掘業の現場では、粉塵が大量に発生します。鉱石や金属の採掘や処理において、粉塵が空気中に拡散し、爆発を引き起こす危険があります。特に石炭鉱山や金属鉱山では、メタンガスが存在することも多く、防爆仕様の機器が必須です。防爆はかりは、採掘された鉱石の重量を安全に計測し、資源管理や輸送の効率を高めます。

防爆はかりの原理

防爆はかりは、外部の危険環境に直接触れないように保護する構造を有します。はかり内部で発生する火花や熱が外部に漏れないようにするための密閉設計が採用されることが多いです。耐圧防爆や正圧防爆、本質安全防爆などが一般的な防爆構造です。

耐圧防爆は内部で爆発が発生しても、その爆風が外部に漏れないように堅牢なケースで囲む方法です。この構造により、爆発が発生した場合でも外部の可燃性ガスや粉塵が引火するのを防ぎます。

正圧防爆は計量器の内部を周囲の爆発性雰囲気よりも高い圧力の安全なガスで満たし、外部の爆発性ガスや粉塵が内部に侵入するのを防ぐ方法です。これにより、火花や高温部分があっても、爆発の引き金となる可燃性物質が存在しない状態を維持します。

本質安全防爆は電気回路のエネルギーを非常に低く抑えることで、火花が発生しても燃焼に必要なエネルギーを供給できないように設計する方法です。どのような状況でも爆発の引き金となるエネルギーが発生しません。

防爆はかりの選び方

防爆はかりを選ぶ際は、以下を考慮することが重要です。

1. 防爆構造種類

防爆構造は、はかりを使用する環境の危険度に応じて選定する必要があります。可燃性ガスや爆発性の粉塵が多く存在する場所では、耐圧防爆タイプのはかりが適しています。また、電気的エネルギーを極端に低く抑えることで爆発の危険を根本的に回避する本質安全防爆タイプも販売されており、これが防爆はかりの標準的な構造とされています。

2. 計量精度

計量精度について考えることも重要です。数グラム単位での誤差が許されない薬品の調合や化学製品の処方では、数グラム以下の誤差範囲で精密に計測できる防爆はかりが不可欠です。一方、倉庫や物流で使用される場合には、標準的な精度のはかりで十分な場合が多いです。

3. 動作環境

防爆はかりを選ぶ際には、動作環境も非常に重要な要素です。冷凍食品加工工場や石油精製プラントの屋外施設では、はかり材料や内部機構が温度変化に強いものでなければならず、耐熱性や耐寒性を有する機種が適しています。さらに、湿度が高い場所や粉塵が舞う環境では、湿気や塵によって故障しないように耐湿性や防塵性能も重要です。