監修:株式会社東洋高圧
高圧バルブとは
高圧バルブとは、高圧の液体やガスを制御するために設計されたバルブの総称です。一般的なバルブとは異なり、高い耐圧性能と密閉性能を備えているのが特徴です。
配管内を移動する蒸気や油などの媒体が、高い圧力下にある状態でも開閉制御を行うための機器です。一般的な大気圧よりもはるかに高い圧力に耐えるため、ステンレス鋼や合金鋼などの高強度材料が使用されることが多く、非常に頑強な構造が採用されています。高圧環境下においても漏洩が発生しにくいように、複数のシール機構や耐久性の高いシール構造、特殊なシール材料などが採用されることもあります。
使用する環境によっては「高圧ガス保安法」に対応したバルブが求められることあるため、各メーカーなどに対応の有無などを確認してから購入することが重要です。
高圧バルブの使用用途
高圧バルブは以下のような用途で使用されます。
1. エネルギー産業
石油・ガス生産・精製: 油田・ガス田からの原油・天然ガスの採掘、輸送 (パイプライン) 、そして精製プラントにおいて、高圧の原油、ガス、水、蒸気などを制御するために使用されます。特に長距離ガスパイプラインや油圧破砕 (フラッキング) など、非常に高圧な環境で重要な役割を果たします。
発電所 (火力、原子力、地熱) : 高温高圧の蒸気や冷却水の流れを制御し、タービンを駆動して発電するプロセスにおいて、安全性と効率性を確保するために多くの高圧バルブが使用されます。特にボイラーや蒸気系統は高圧バルブの主要な使用場所です。
LNG (液化天然ガス) 関連施設: 天然ガスを液化・貯蔵・輸送するプロセスでは、超低温かつ高圧の条件に対応できる特殊な高圧バルブが必要です。LNG受入基地や貯蔵タンクなどで使われます。
水素エネルギー関連: 次世代エネルギーとして注目される水素は、高圧で貯蔵・輸送されることが多いため、水素ステーションにおける充填、供給、貯蔵システムなどで超高圧水素用のバルブが不可欠です。
2. 化学・石油化学産業
各種化学プラント: 高温・高圧下での化学反応プロセスや、腐食性・危険性の高い流体 (酸、アルカリ、毒ガスなど) の供給・排出、圧力調整などに用いられます。製品の品質管理、安全性確保に直結します。
医薬品製造: 厳密な品質管理と衛生が求められる医薬品製造プロセスにおいて、高圧の液体やガスを精密に制御するために使用されます。
半導体製造: 高純度ガスや特殊ガスを高精度で供給する際に、パーティクル (塵) の発生を極力抑え、かつ高圧に耐えるクリーンルーム対応の高圧バルブが使用されます。
3. 製造業
油圧・空圧システム: 建設機械、工作機械、産業ロボットなど、高圧の油圧や空気圧を利用して動力伝達や制御を行うシステムで、流体の流れや圧力を制御するために使用されます。
高圧洗浄機: 工業用や特殊用途の高圧洗浄機において、高圧水を噴射するために使用されます。
各種製造ライン: 製造工程における液体やガスの移送、圧力調整、停止・再起動時の急激な圧力変化の防止など、設備全体の安全性を向上させる上で欠かせない機器要素です。
4. 研究・開発分野
実験装置・試験設備: 大学や研究機関での高圧流体を用いた実験や、材料の強度試験など、精密な流量調節や圧力維持が求められる場面で高圧バルブが利用されます。
本記事は高圧バルブを製造・販売する株式会社東洋高圧様に監修を頂きました。
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