食品微生物検査とは
食品微生物検査とは、食品の安全性担保のため、衛生指標菌や食中毒に関わる微生物の検出・同定・定量を行うサービスです。
食品中の微生物の繁殖は、食品の腐敗や劣化、食中毒を引き起こす原因となります。そのため、食品の安全性評価の指標として微生物検査が利用されています。食品微生物検査では、微生物汚染の全般的な程度を表す一般生菌数の他、大腸菌群、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、リステリア、ボツリヌス、カビ、酵母など様々な病原性微生物の検出・定量・同定が可能です。
原材料、ロット、季節などの食材に関するデータを蓄積して、原料由来の危険性予測や、製造工程の加熱不足や交差汚染についても分析・フィードバックを行うことができます。検査される食材の具体的な例には、弁当・惣菜・洋菓子・乳製品・アイスクリーム・氷菓・食肉・卵類・魚介類・魚肉ねり製品などがあります。
食品微生物検査の使用用途
1. 原材料・製品の安全確認
食品製造業において、原材料や、製造済みの食品を検体として、安全性を確認するために食品微生物検査が行われています。
一般的な衛生の程度を表す一般生菌数や大腸菌などの衛生指標菌の検査を基本として、その他検体特性によりリスクの高い食中毒菌の検査を必要に応じて組み合わせることが多いです。例えば、卵を含む製品に黄色ブドウ球菌とサルモネラ菌の検査を組み合わせたり、魚介類を含む製品に黄色ブドウ球菌と腸炎ビブリオの検査を組み合わせたりする例などがあります。
2. クレームの原因分析・消費期限の設定
製造販売した食品にクレームや不具合があった場合や、食品が原因と推定される食中毒が発生した場合、原因究明を行うために残っている該当食品を微生物検査にかける場合があります。同一ロットの製品などを比較品として、クレーム品と同時に検査を行う場合もあります。
また、食品を保管・販売する条件で保存した場合の菌数変化を測定する食品微生物検査もあります。このような検査を用いて、弁当や惣菜などの加工品の消費期限を設定することが可能です。リスク管理や品質管理の指標を定めるためのデータの蓄積としても有用です。
3. 製造工程の衛生管理
食品を検体とする微生物検査だけでなく、食品の衛生を管理するために行われる微生物検査全体を食品微生物検査として呼ぶ場合があります。対物検査では、食品製造工場・調理場、調理設備など製造環境の微生物検査や、使用水の検査、輸出入時での衛生検査などが中心です。
また、対人検査では、食品製造に関わる従業員の衛生検査に食品微生物検査が利用されています。手指に付着している一般生菌や黄色ブドウ球菌などを検査したり、ハンドスタンプ検査によって手洗いの効果を検証したりと、効果的に衛生管理指導に役立てる事が可能です。