微生物検査とは
微生物検査とは、食中毒や各種感染症の原因となる細菌や真菌などの検出・同定・定量を行うサービスです。
検査を行う検体を採取し、液体培地もしくは平板培地に接種して菌数を増やした後に、分析を行う方法が一般的です。専門の設備と技術者を備えた企業・機関にて正確な検査が提供されます。尚、ノロウイルスや新型コロナウイルスの検査も微生物検査の中に含まれる場合がありますが、これらのウイルスは微生物用の培地で増やすことができないため、PCR法などによる検出が行われます。
微生物汚染の全般的な程度を表す一般生菌数の他、大腸菌群、黄色ブドウ球菌、サルモネラなど様々な病原性の菌類の検出・菌数測定・同定が可能です。様々な分野において、衛生・健康を守る目的で利用されています。
微生物検査の使用用途
1. 食品
微生物検査は、食品の汚染指標菌や食中毒菌の有無を確認し、安全・安心を担保する目的で行われています。細菌だけでなく、カビ (真菌) や酵母を調べることもできます。各種規格基準や衛生管理指標などに適合しているかどうかを調べる目的で利用されることも多いです。
原材料や製造工程、製造環境などに常在している微生物の種類をあらかじめ把握し、予防策構築のための資料とすることにも役立ちます。また、クレームや不具合があった場合や、食品が原因と推定される食中毒が発生した場合は、残っている食品を検査することで原因究明が可能です。
2. 医療・健康
臨床治療や労働従事者の健康管理では、ヒトから採取した検体を微生物検査にかけることがあります。医療現場では、喀痰や尿、便、膿、血液、体腔液などの患者検体を用い、感染症等の起因菌を検出する目的で検査が行われます。また、見つけ出した原因菌に対して、有効な薬剤の探索試験を行い、早期診断と治療・回復に役立てることが可能です。
食品事業者は、食中毒事故予防のため、労働従事者の健康管理や腸内細菌検査の実施などを行うことが法令で義務付けられています。無症状の保菌者を早期に発見し、感染拡大や食中毒事故を予防するため、微生物検査が利用されています。
3. 環境・工業
化粧品や化学工業品なども、製造工程などにおける微生物汚染の有無を確認するため、微生物検査が利用されています。建物・設備・機器の表面などに付着する表面付着菌や、空中浮遊菌などを調べることが多いです。クリーンルーム、病院の手術室、食品工場などでも利用されています。
また、土壌における病原性微生物の有無や、環境水の衛生状態を評価し、人間や動物の健康を保護する目的でも微生物検査は有効です。また、公共浴場やプールなど、レジオネラ菌対策が必要な場所でも水質維持のため、微生物検査が活用されています。