シクロプロペニリデン とは
シクロプロペニリデンとは、化学式C3H2で表される有機化合物のひとつです。芳香族化合物のひとつであり、形式的には環内にC=C二重結合をひとつ含み、ひとつの炭素原子が孤立電子対を有します。
シクロプロぺニリデンは、星間物質(ISM)とよばれる、恒星間の宇宙空間に分布する希薄な物質のひとつとして知られています。シクロプロペニリデンは反応性が非常に高いため、地球上では実験室の限定された条件下でしか存在しません。
同じ化学式で表される物質としてプロパジエリデン(プロパジエン-1-イリデンラジカル)があります。この物質もシクロプロペニリデンと同様に、星間物質のひとつとして知られています。
シクロプロペニリデン の使用用途
上述の通り、シクロプロペニリデンは反応性が非常に高いため、地球上では実験室の限定された条件下でしか存在しません。したがって、本物質そのものが研究対象となることはあっても、本物質を使用した工業的・生化学的用途はありません。
一方、惑星科学の分野においては、非常に興味深い物質のひとつです。シクロプロペニリデンは、星間物質(ISM)とよばれる、恒星間の宇宙空間に分布する希薄な物質のひとつとして知られています。2020年、土星の衛星であるタイタンの大気中に、シクロプロペニリデンが検出されたとする研究成果が報告されました。これまでシクロプロペニリデンは星々の間に存在する星間分子雲でしか検出例がなく、大気中で検出されたのはタイタンが初めてとされています。シクロプロペニリデンが、タイタンに存在し得る生命を支える複雑な化合物のもとになる可能性があるともいわれています。
参考文献
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/abb679