渦電流式膜厚計

渦電流式膜厚計とは

渦電流式膜厚計とは、導電性の基材上に形成された非導電性皮膜の膜厚を渦電流の変化を利用して非破壊で測定する計測機器です。

渦電流式膜厚計はプローブに内蔵された励磁コイルに高周波電流を流すことで磁界を発生させ、基材に生じる渦電流の変化から膜厚を測定します。測定原理は、非導電性の皮膜が厚くなるほど基材との距離が増加し、渦電流が減少する現象を利用しています。

渦電流式膜厚計の特徴は、測定が簡便で高速である点です。プローブを測定対象に当てるだけで瞬時に測定値が得られ、現場での検査に適しています。また測定値のばらつきを抑えるため、プローブの温度補正機能や基材の材質や形状に応じた校正機能なども備えています。さらに、測定データを保存し統計処理や品質管理に活用することも可能です。近年では無線通信機能を搭載した機種も開発され、測定データのリアルタイム転送や遠隔監視にも対応しています。

渦電流式膜厚計の使用用途

1. 金属製品の塗装検査

自動車や家電製品などの塗装膜厚検査に広く使用されます。塗装の密着性や耐久性は膜厚に大きく依存するため、製品の品質確保には適切な膜厚管理が必要です。渦電流式膜厚計は、生産ラインでの抜き取り検査や、完成品の品質検査に活用されています。

2. 樹脂コーティングの測定

金属製品の防食や絶縁を目的とした樹脂コーティングの膜厚測定に使用されます。コーティングの性能を確保するために必要な膜厚管理を、非破壊で効率的に行うことができます。また、複雑な形状の製品でも小型のプローブを使用することで測定が可能です。

3. 建築材料の検査

アルミニウムサッシや鉄骨などの建築材料における表面処理膜の検査にも使用されます。耐候性や防食性を確保するために必要な膜厚を、現場で簡単に確認することができます。また測定データを記録することで、品質管理の証明書として活用することも可能です。さらに、長期的な膜厚の変化を追跡することでメンテナンス計画の立案にも役立てることができます。