蛍光X線膜厚計

蛍光X線膜厚計とは

蛍光X線膜厚計とは、蛍光X線を用いて金属めっきや塗装などの表面処理層の膜厚を非破壊で測定する計測機器です。

蛍光X線膜厚計は、X線を試料に照射し発生する蛍光X線の強度から膜厚を測定します。試料にX線を照射すると各元素に固有の波長を持つ蛍光X線が発生し、その強度は膜厚に比例する特性があります。測定は非接触で行われ、試料を傷つけることなく短時間で正確な測定が可能です。また複数層の膜厚を同時に測定できる機種もあり、多層めっきの品質管理にも活用されています。

蛍光X線膜厚計の性能は、測定精度や最小測定範囲、測定速度などで評価されます。最新の装置では、ナノメートルオーダーの薄膜測定も可能です。また自動ステージ機能を搭載し、多点測定や面分布測定を自動化した装置も開発されています。さらに、測定データの統計処理や管理図作成などの品質管理機能も充実しています。測定環境の影響を最小限に抑えるため温度補正機能や試料の位置ずれを自動補正する機能なども搭載されており、より安定した測定を実現しています。

蛍光X線膜厚計の使用用途

1. 電子部品の品質管理

電子部品の製造工程では、基板上の金めっきや半田めっきなどの膜厚管理が重要です。蛍光X線膜厚計は製品の信頼性確保に必要な膜厚測定を非破壊で行い、品質管理の効率化に貢献します。また、測定データを記録し工程管理や品質保証のための証拠として活用できます。

2. 自動車部品の検査

自動車部品の防食めっきや装飾めっきの膜厚検査に蛍光X線膜厚計が使用されます。耐食性や外観品質を確保するための膜厚管理を行い、製品の信頼性向上に役立てます。また、複雑な形状の部品でも非接触測定により安定した検査が可能です。

3. 研究開発

新材料や新しい表面処理技術の開発において、蛍光X線膜厚計は重要な評価ツールとなります。成膜条件と膜厚の関係を正確に把握し、プロセスの最適化に活用可能です。また、微小領域の膜厚分布測定により成膜メカニズムの解明にも貢献しています。さらに測定データの解析機能を活用することで、新しい材料開発や製造プロセスの改善に必要な知見を得ることができます。