超々ジュラルミンとは
超々ジュラルミン (英: 7075 aluminium alloy) とは、アルミニウム合金 (英: aluminum alloy) の一種です。
日本産業規格 (JIS)ではA7075と呼ばれています。主体となる成分はアルミニウムで、銅を1.2~2.0%、マグネシウムを2.1~2.9%、亜鉛を5.1~6.1%加えて得られます。鉄材と同程度の強度を持っていますが、軽量です。
ジュラルミン (英: Duralumin) と比較しても約1.5倍の強度があります。しかし銅を多く含むことから、耐食性が低い点がデメリットです。長時間経過すると強度が低下するため、注意が必要です。
超々ジュラルミンの使用用途
超々ジュラルミンは強度の割に軽く、一般的な鋼材であるステンレスと比較すると3分の1程度の軽さです。この特徴を活かし、航空機の各種材料だけでなく、野球のバットなどにも使用されています。鉄道車両以外にも、金属バット、スキー板、ストックのような、さまざまなスポーツ用品に利用可能です。
しかし超々ジュラルミンは、耐食性が低いです。そのため、耐食性が必要な場所で使用する場合は、ステンレスのような耐食性に優れた材質を挟み込むことで対応しています。また、溶接の際もリベットボルトを使用して、固定度を高めています。
超々ジュラルミンの種類
超々ジュラルミンは、アルミニウム合金に含まれるジュラルミンの一種です。ジュラルミンには、ジュラルミン、超ジュラルミン (英: 2024 aluminium alloy) 、超々ジュラルミンの3種類があります。
ジュラルミンと超ジュラルミンは、主にアルミニウムと銅の合金です。それに対して超々ジュラルミンは、アルミニウムを主体とした、銅、亜鉛、マグネシウムからなる合金です。
ジュラルミンの硬度は、HB (ブリネル硬さ) で比較できます。アルミニウムは65HB、ジュラルミンは105HB、超ジュラルミンは120HB、超々ジュラルミンは160HB、ステンレスは187HBです。
超々ジュラルミンの原理
1906年に銅を添加したアルミニウム合金が製作されました。とくに1日放置すると、焼き入れ直後よりも大幅に硬度の向上が見られます。このアルミニウム合金は、ジュラルミンとして市場に参入しました。
1928年に引張強度が強いジュラルミンが開発されました。この時期に作られた超ジュラルミンは、多くケイ素を含んでいたため、含ケイ素超ジュラルミンと呼ばれています。1931年にはケイ素を用いず、マグネシウムの添加量を1.5%に増やした合金も発明されています。
しかし応力腐食割れは、多くの高強度金属の問題でした。応力腐食割れを防ぐために、クロムの添加によって対策されています。そして1936年に、当時最も強度が高い超々ジュラルミンが開発されました。
超々ジュラルミンの選び方
1. 超々ジュラルミン
超々ジュラルミンは、アルミニウム合金の中でもトップクラスの強度を有します。超ジュラルミンより銅の割合を少なくした分、マグネシウムの比率を増やし、亜鉛を加えて強度を得ています。ジュラルミン類の中では「超」が付くほど、強度が高くなる傾向にありますが、合金自体の重量や溶接性、耐食性は、ほとんど変わりません。
2. ジュラルミン
一般的なジュラルミンは、3種類のジュラルミンの中で最も安価です。身近な製品にも使用され、ジュラルミンケースは代表的な例です。軽い上に強度があり、荷物の持ち運びに適しています。
3. 超ジュラルミン
超ジュラルミンは、ジュラルミンと超々ジュラルミンの間の強度です。超々ジュラルミン同様、航空機の部品として使用される場合が多いです。
超々ジュラルミンの構造
超々ジュラルミンは強度を確保するため、アルミにマグネシウム、銅、亜鉛が加えられています。亜鉛を添加すると強度は高くなりますが、応力腐食割れのリスクが少なからず生じます。
ジュラルミンは時効硬化によって、強度を高めた素材です。時効硬化とは、焼き入れ後、一日ほど寝かせると、焼き入れ直後よりも、強度が向上する現象です。ジュラルミンは時効硬化によって強度を確保していますが、長期的に使用すると少しずつ強度は失われます。