導電材料

導電材料とは金属テープ

導電材料とは、自由電子を持つ電気が通せる材料のことです。

一般的な導電材料には、金属・半導体・導電性高分子材料などがあります。金属は自由電子が存在するため導電性が高い特性を持ちます。一方、半導体は導電性が低いもののドーピングなどの技術によって導電性を制御できることが特徴です。導電性高分子材料は、電荷を帯びた部分が分子内に存在するため、柔軟性が高く軽量であり導電性能を調整できます。

導電材料は、電子デバイス、回路、センサー、照明、電気自動車、太陽電池などの分野で幅広く使用されています。

導電材料の使用用途

導電材料の使用用途は主に下記の通りです。

1. 電子デバイス

トランジスタ、ダイオード、集積回路 (英: Integrated Circuit, IC) などが挙げられます。トランジスタは、電気信号を増幅したり、スイッチングしたりするために使用される電子デバイスの一つです。トランジスタは、半導体材料 (主にシリコン) を用いて作られます。ダイオードは、半導体材料 (主にシリコン) を用いて作られる、電流を一方向に通せる電子デバイスの一つです。

2. 電気回路・電子回路

配線、プリント基板などが挙げられます。プリント基板 (英: Printed Circuit Board, PCB) は、電子回路を実装するための基板であり、トレースを形成することで部品を接続して回路を構成できます。トレース (英: Trace) とは、プリント基板上で部品同士を接続するための「銅箔や導電性インク」で形成された導体のことです。

3. センサー

加速度センサー、圧力センサー、温度センサーなどが挙げられます。

4. 照明

LED、蛍光灯などが挙げられます。LED (英: Light Emitting Diode) は、電気が流れることで発光する半導体素子の一種で、発光ダイオードとも呼ばれます。

5. 電子機器

コンピューター、スマートフォン、タブレット、家電製品などが挙げられます。

6. 輸送機器

電車、電気自動車、エレベーター、自動ドアなどが挙げられます。

導電材料の種類

導電材料には、以下のような種類があります。

1. 金属

アルミニウム、鉄、銀、金などの金属が導電材料としてよく知られています。金属は電子が自由に移動できるため、電気伝導性が非常に高い特性があります。

2. 半導体

シリコン、ガリウムアーセニド、窒化ガリウムなどの半導体が導電材料として利用されます。半導体は、純粋な状態では電気伝導性が低い材料ですが、不純物を添加することで電気伝導性を制御できます。

3. 電解質

イオン性化合物や液体 (イオン化合物が解けて液体状態になったもの) が導電材料として利用されます。電解質は、イオンが移動することによって電気伝導性を示します。電解質は、バッテリーや燃料電池などのエネルギー変換装置や電気化学センサーなどに利用されます。

イオン性化合物とは、陽イオンと陰イオンから構成される化合物のことです。イオン性化合物は、水に溶かすと電離して陽イオンと陰イオンに分解されるため電気を通せます。

4. 導電性高分子

ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリンなどの高分子が導電材料として利用されます。導電性高分子は、有機電子材料として有機ELディスプレイなどに利用されます。

5. その他

炭素ナノチューブ、グラフェン、金属酸化物など、新しい材料の開発によって、様々な種類の導電材料が開発されています。

炭素ナノチューブは、炭素原子が六角形の網目状に結合して作られたチューブ状のナノスケール材料です。グラフェンとは、一層の炭素原子から成る二次元の物質で、非常に高い強度と導電性を持ち透明であることが特徴です。グラフェンは、グラファイトを単層に剥がしたものであり、炭素原子が六角形の格子状に配列しています。

導電材料の性質

1. 電気を通す

導電材料が電気を通せる理由は、その内部に存在する自由電子の存在によります。自由電子は、原子や分子の結合に関係なく材料内部で自由に移動できます。導電材料は、外部から印加された電場により自由電子が移動して電荷を伝導できる材料です。

2. 電気抵抗が低い

導電材料内部では、自由電子が外部から印加された電場によって移動して電流を伝導します。この際に自由電子が材料内部の原子や分子と衝突することで抵抗が生じます。

導電材料の電気抵抗が低い理由は、材料内部の結晶構造が整然としているためです。結晶構造が整然としていると、自由電子が材料内部で移動する際に衝突する原子や分子の数が少なくなるため抵抗が小さくなります。また導電材料内部の不純物や欠陥が少ないほど抵抗が小さくなります。

3. 熱伝導性が高い

導電材料内部では、自由電子が外部から印加された熱によってエネルギーを吸収して熱エネルギーを伝導します。この際に自由電子が材料内部の原子や分子と衝突することで熱が伝わります。

導電材料の熱伝導性が高い理由は、材料内部の結晶構造が整然としているためです。結晶構造が整然としていると、自由電子が材料内部で移動する際に衝突する原子や分子の数が少なくなり、熱が均等に伝わりやすくなります。また導電材料内部の不純物や欠陥が少ないほど熱伝導性が高くなります。

4. 電気によって磁場を発生する

磁場は、電流が流れる導線の周りに発生する現象です。導電材料内部では、外部から印加された電場により自由電子が移動して電流が流れ、この電流により導電材料内部の磁気モーメントが発生して磁場が発生します。

導電材料が磁気性を持つためには、材料内部に十分な自由電子が必要です。自由電子の存在により電流が流れやすくなって磁場の発生に必要な電荷の移動が起こりやすくなります。また導電材料の磁気性は、電流が流れる方向に対して垂直な方向に磁場が発生する傾向があります。

導電材料のその他情報

1. 半導体材料への不純物の添加

導電材料には、意図的に不純物を添加することで導電性や特定の物性を制御できます。例えば銅に酸化物を添加すると、電気抵抗が上がります。またシリコンにホウ素などの不純物を添加することで、p型半導体やn型半導体を作れます。

p型半導体とn型半導体は、半導体材料に特定の不純物を添加することにより電気的性質を制御したものです。p型半導体とn型半導体を組み合わせることでp-n接合が形成され、電気的に特異な性質を持った素子や回路を構成できます。

2. 柔軟性がある導体材料

一部の導電材料には、柔軟性があるものがあります。導電性高分子材料や炭素ナノチューブなどは、柔軟性が高くて軽量でありながら導電性能を維持できます。これらの材料は、曲がったり伸びたりするような形状の電子機器やセンサーなどに利用されます。

3. 高温耐性がある導体材料

一部の導電材料には、高温に耐える性質があります。例えば炭素ナノチューブは、高温環境下での電気伝導性が高いことが知られています。これは炭素ナノチューブが非常に強靭であって高温においてもその構造が変化しないためです。

4. 金属導電材料の耐食性

金属導電材料は、一般的に耐食性が高い傾向があります。例えば銅は空気中で酸化するために表面が変色しますが、銅酸化物が表面を覆ってそれ以上の酸化を防止します。

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