前駆体

前駆体とは

前駆体

前駆体 (英: precursor) とは、ある化学物質が形成される前段階の物質のことです。

化学分野 (とりわけ有機合成や生化学) で使用されることが多い言葉です。

前駆体の使用用途

前駆体を経て作られる化学物質は、薬品をはじめエレクトロニクス分野、たとえば半導体素子関連のDRAM電荷保存および回路パターンを形成する電子部品といった、非常に広い分野にわたり使われています。

最近の開発競争でしのぎが削られている「ペロブスカイト太陽電池」は、その変換効率の高いことや溶液塗布で製作できるという容易性で有名ですが、その前駆体として知られるヨウ化鉛もまさに再生エネルギーの先駆けとなる出発物質といっていいでしょう。

前駆体の原理

ヨウ化鉛を前駆体として作られるペロブスカイト化合物 (MeNH3PbI3) は、ペロブスカイト太陽電池の光吸収層として使われています。

ペロブスカイト太陽電池は、積層構造で作られており、基材のうえに透明電膜で構成されたマイナス極が形成され、その上には順次「金属酸化物層」「ペロブスカイト」「正孔輸送膜」を介してプラス電極となります。この積層構造は、金属酸化物にペロブスカイト結晶薄膜を塗布することで形成されるという製作容易性が好まれ、一気に太陽電池への使用研究が拡大していったといわれています。

ペロブスカイト結晶が日本人の発明によるものであり、太陽電池の普及を後押ししているきっかけとなったとされています。800nmで赤外線領域の吸収性能に優れ、この結晶で作られた太陽電池の変換効率がmax20%を超える値という驚異的な結果が示されています。

まだまだペロブスカイト太陽電池は、開発途上といわれていますが、前駆体が出発物質であることに変わりはありません。

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