ピンクノイズ

ピンクノイズとは

ピンクノイズ (英: pink noise) とは、ノイズのパワー密度が周波数に反比例する雑音のことです。

同じ周波数成分を持つ光がピンク色に見えることから、ピンクノイズと呼ばれます。強い雨や滝の音のような「ザー」という音が特徴です。ピンクノイズは、オクターブバンドごとのエネルギーが一定であり、様々な音響測定の信号源などに使用されます。

ピンクノイズの類似なものに、周波数に関わらず一定のパワーをもつホワイトノイズがあります。聴感上心地よい音として聞こえることから、気持ちを落ち着ける作用があるとされます。ピンクノイズは、パワーが周波数に反比例することから、「1/fゆらぎ」とも呼ばれており、自然界では砂浜の潮騒にたとえられることがあります。

ピンクノイズの使用用途

ピンクノイズは広い周波数範囲の信号源に、アンプやスピーカー、ヘッドフォンなどのオーディオ製品 のテストをはじめ、電子機器の試験用の信号源、及び人の聴力テストや癒し用の音源などに使われます。

ピンクノイズの原理

ピンクノイズは、パワーが周波数に反比例するので、1/fノイズとも呼ばれます。ここで、fは周波数です。ノイズを広く表す一般式は「S(f)∝1/f^α」となります。

なお、S(f)はスペクトル密度、fは周波数、αは0=<α<=2です。ピンクノイズの場合、αは1前後です。このとき、周波数が10倍でスペクトル密度は、α×10dB減衰します。

αが1前後のノイズは、自然界の中に潮騒をはじめ多くあり、研究対象になっています。また、α=0はホワイトノイズであり、α=2はレッドノイズと呼ばれます。

ピンクノイズのその他情報

1. ピンクノイズの効果

ピンクノイズは、オーディオ製品 のテストや電子機器の試験などに多く使われます。この他、音源としての用途が重要です。ピンクノイズは低周波の成分が大きいため、耳で聞くと、外界音を遮断し、癒しの効果があります。また、人間が聞きやすい自然界の雑音に近いことから、心地良い音と言えます。

したがって、集中力や生産性の向上を目指して、環境音として使用される例もあります。ピンクノイズの効果は、睡眠に良い影響を与えることです。脳は睡眠中に短期記憶を長期記憶へ変えると言われています。

ノンレム睡眠の内、特に眠りの深い状態である徐波睡眠が長期記憶に必要です。徐波睡眠時にピンクノイズにより音響刺激を与えると、記憶力が向上する効果について、研究発表されています。

2. ピンクノイズの作り方

ピンクノイズの作り方は、ノイズ発生器を使って簡単に作る方法、ダイオードなどの電子回路で作る方法、プログラミング言語を使用して発生させる方法などがあります。

ノイズ発生器は、電磁妨害EMI試験や音響特性試験などに使用される発生器及びファンクションジェネレータに組み込まれている発生器があります。ホワイトノイズ、ピンクノイズなどを選択してノイズ発生させます。シンセサイザに付属しているノイズ発生器でも可能です。

ツェナーダイオード、トランジスタ、オペアンプなどを使ったノイズ発生回路を使う方法は、まずホワイトノイズを作ります。そして、周波数に反比例したパワー減衰を行って、ピンクノイズにする方法です。パワー減衰は、-3dB/octが必要であるため、ラグ・リードフィルタと呼ばれる回路などを使用します。

もう1つの方法は、C言語、Java言語、Pythonなどのプログラミング言語を使う方式です。乱数を使ってソフトウェアでノイズを生成します。

3. ノイズの色表現

ノイズを色彩で表現することが一般に行われます。カラードノイズと呼ばれ、ホワイト、ピンク、レッド又はブラウン、ブルー、バイオレット又はパープル、グレーなどが使われます。ノイズは周波数成分で決まりますが、同じ周波数成分を有する光の色で、ノイズを表現します。

ホワイトノイズは、すべての周波数を均一に含み、⾵の⾳や⼩川の⾳のような「サー、シャー」と感じます。レッドノイズは、パワー密度が周波数1オクターブあたり6dB低下するノイズです。ピンクノイズは、ホワイトとレッドの中間で、パワー密度が周波数1オクターブあたり3dB低下します。雨や滝の音のような「ザー」と聞こえます。

また、ブルーノイズは、パワー密度が周波数の上昇に伴い、1オクターブあたり3dB増加するノイズです。周波数範囲の限定があります。パープルノイズは、パワー密度が1オクターブあたり6dB増加します。周波数範囲は有限で、ホワイトノイズを微分したものと等しくなります。

グレイノイズは、聴覚の等ラウドネス曲線に近いパワー密度のノイズです。等ラウドネス曲線は、2,000Hz前後のパワー密度を大きく減衰させ、低周波及び高周波で減衰を小さくした等聴感曲線です。

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