真空鋳造とは
真空鋳造とは、溶湯を鋳込む前にキャビティ内 (金型の凹部) をあらかじめ真空タンクを用いて減圧しておく鋳造の方法です。
常圧の鋳造において溶湯を金型に流し込む際、空気を巻き込んでしまうと鋳巣 (ちゅうす) と呼ばれる空洞が製造物内部に発生してしまいます。真空鋳造は金型を真空状態にすることでこのような空洞の発生を抑制し、質の高い鋳造品を製造する鋳造手法です。真空鋳造のメリットには下記のようなものが挙げられます。
- 鋳巣の発生を抑えることが可能
- 金型内において溶湯の流れを阻害するガスが少なくなるため、湯回りが良好になる
真空鋳造にはいくつかの小分類があります。真空吸引鋳造は一定の負圧を発生させ、溶融金属を金型キャビティ内に吸い込む鋳造法です。一方向性の真空吸引と多方向性の真空吸引があります。その他、金型キャビティ内を真空にしてから加圧充填する方法などもあります。充填後、圧力を維持して一定の圧力下で鋳物を結晶化および凝固させることによって組織が緻密になり、機械的特性を向上させることが可能です。
基本的には金属鋳造のことを指しますが、極稀にプラスチックの真空成形に対しても真空鋳造という名称が用いられる場合もあります。
真空鋳造の使用用途
真空鋳造は、その高い精度と複雑な形状の再現性から、様々な分野で活用されています。以下に、主な使用用途をご紹介します。
1. 金属製品
真空鋳造は、主に高い機械的品質や表面仕上げを必要とする場合や、寸法精度を備えた大型の部品を鋳造する必要がある場合などに使用されています。真空鋳造による主な鋳造品は下記のとおりです。
- 自動車、大型トラック用部品 (ダイカスト)
- 鉄道車両
- 産業用機械部品
- 建設機械
- 物流機器
- コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラなどの精密部品
- 後工程に熱処理や溶接を予定している部品 (鋳巣があると内部欠陥が発生するため)
- 家庭用電化製品
- 医療機器
2. プラスチック製品
プラスチックの真空成形についても真空鋳造という言葉が用いられる場合があります。真空であることから、気泡などによる不具合を減らし、精密な製品を製造することが可能です。製造される製品には下記のようなものがあります。
- 医療器具 (義肢、装具、補聴器など) 、外科用臓器モデル
- 樹脂製の自動車部品 (ダッシュボードパネル、ノブ、メーター、エンブレム、など)
- ロボットや産業機械の部品
- 美術品、フィギュア、スケールモデル