変性エポキシ樹脂塗料

変性エポキシ樹脂塗料とは

変性エポキシ樹脂塗料

変性エポキシ樹脂塗料とは、エポキシ樹脂塗料の1種です。

エポキシ樹脂に対して変性樹脂を加えたり、エポキシ樹脂の樹脂骨格を変成させたりする方法で変性させた樹脂を用いた塗料を指します。変性方法として代表的なのが、ビスフェノールA骨格を持つエポキシ樹脂プレポリマー間を機能を持った他の変性剤で橋掛けすることで、エポキシ樹脂に変性剤の機能を付与する方法です。

変性エポキシ樹脂塗料の使用用途

変性エポキシ樹脂塗料は、サビ止め用の塗料として幅広く利用されています。変性エポキシ樹脂は、他の塗膜に対して、優れた付着性や浸透性をもつことが特徴です。そのため、既にサビが入ってしまった旧塗膜に対して、上塗りとして用いられることもあります。

特に、マンションなどの建築物の修繕工事現場などで使用されています。具体的には、扉・ドア・アンテナ支柱などの鉄部塗装です。

住宅用だけではなく、橋梁、電力・プラント、コンクリート構造物などの、鉄部以外の大型の建設物の塗装にも変性エポキシ樹脂塗料は利用可能です。変性技術によってさまざまな被着体に対し密着し、錆や表面に浸透する水などから被着体を保護します。

変性エポキシ樹脂塗料の原理

エポキシ樹脂は、複数のエポキシ基を残基として持つ高分子であるプレポリマーとエポキシ基と反応するアミンや酸無水物という官能基を複数持つ多官能の硬化剤を混ぜ合わせることで、プレポリマーを緻密に架橋させ硬化する熱硬化性樹脂です。強固なネットワーク構造を持ち、エンジニアリングプラスチックとして用いられます。しかし、これをそのまま塗料にすると、塗膜が固く脆くなったり、被着体への密着性が弱かったりします。

そこで、エポキシ樹脂の欠点を改質するために使用するのが変性エポキシ樹脂です。変性の目的は、エポキシ樹脂のプレポリマーに変性剤を組み込むことで、変性剤中の官能基の特性を発現させたり、架橋密度を調整して柔軟性を調整したり、ゴムやエラストマーと合わせることで弾性を持たせたりすることです。

このような変性エポキシ樹脂を変性することで、溶剤への親和性を高め、一液で使用できるようになります。また、サビ層への浸透性が向上するなどの効果を発揮し、塗料として優れた特徴を持つようになることも特徴の1つです。

その他、エポキシ樹脂塗膜の内部応力を緩和することによって、素地や旧塗膜への付着性が通常のエポキシ樹脂塗料と比べて向上する点も特徴として挙げられます。

変性エポキシ樹脂塗料の種類

変性エポキシ樹脂塗料に用いられる変性エポキシ樹脂は、どのような変性剤で変性されたかによって、その性質が大きく異なります。変性エポキシ樹脂の主な種類として、「ウレタン変性エポキシ樹脂」「ポリエステル変性エポキシ樹脂」「ゴム変性エポキシ樹脂」「キレート変性エポキシ樹脂」などが挙げられます。

1. ウレタン変性エポキシ樹脂

ウレタン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂にウレタン構造を導入したもので、可とう性・高剥離強度・強靭性・柔軟性などに優れています。

2. ゴム変性エポキシ樹脂

ゴム変性エポキシ樹脂は、柔軟性・耐衝撃性・高剥離強度などに優れています。

3. キレート変性エポキシ樹脂

キレート変性エポキシ樹脂は、防食性と密着性などに優れています。

変性エポキシ樹脂塗料のその他情報

変性エポキシ樹脂塗料の長所と短所

1. 長所
変性エポキシ樹脂塗料の長所として、第一に高い防錆性が挙げられます。しかし、変性樹脂自体に金属の錆の進行を抑制するような防食性はありません。

内部応力の緩和や水蒸気透過性の低減などといった物理的な要因で、被着体の金属に錆の原因が近づくのを防ぎ、結果として高い防食性を発現可能です。また、変性樹脂には、被塗面への塗料の濡れ性を改善する働きがあるため、塗料の濡れ広がりや浸透を容易にする長所もあります。

2. 短所
変性エポキシ樹脂塗料の短所として、使用できる色彩の範囲が狭く、また塗膜内において変性樹脂の移動が起こることから、上塗り塗料として用いると変色や色むらが起きやすい点が挙げられます。そのため、外観を重視する構造物で、変性エポキシ樹脂塗料を使うケースはめったにありません。 

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