FRPライニングとは
FRPライニングとは、FRP (繊維強化プラスチック) でタンクや配管などの表面を覆う加工 (ライニング加工) を行うサービスです。
FRPライニングは、腐食や化学反応によるダメージから構造物を保護する加工であるライニングの一種です。破損してしまったFRP製のタンク、水槽や配管の補修の他、鉄製タンクやコンクリートやモルタルに対しても腐食対策としてFRPライニング加工が施されます。FRPは、耐薬品性、耐蝕性、耐水性に優れ、高い強度があります。様々な母材に対して加工を行うことが可能です。
FRPライニングの使用用途
FRPは、繊維とプラスチックの複合材であることから、金属と異なり腐食しにくいという特徴があります。そのため、FRPライニングは、様々な設備において補修・補強・腐食予防などに使用されています。主な用途は下記の通りです。
- タンク、水槽、湯槽、プールの補修・表面加工
- 配管、バルブ、接続部、ポンプの漏洩対策
- メッキ・電解・酸洗などの化学反応を行う反応槽や、薬品貯蔵槽などにおける、化学薬品による腐食予防、生物膜形成の予防
- シックナー・処理塔・洗浄塔イオン交換樹脂塔などにおける腐食予防
- 下水道施設の防食
- コンクリートピット補修、モルタルベース補修
- 遠心分離機・ドラムフィルター・フィルタープレスなどの表面加工
- 送風機・排風機・攪拌翼などの補修、表面強化
- 厨房床の強化
- 食品・医薬品工場における微生物予防
- 船舶や海洋構造物における防食
FRPライニングの原理
1. FRPとは
FRP (繊維強化プラスチック) とは、樹脂と強化繊維の複合材質です。軽量であり、高い強度と耐久性があります。耐食性 (錆びない) 、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性に優れます。ただし、紫外線によって劣化する性質があるため、屋外使用の際はコーティングや塗装が必要です。
また、樹脂の硬化速度が速く、施工後1～2時間程度で塗膜が形成されることから、短時間で何層も重ねる工程を行うことができます。成形の自由度が高く、比較的施工も容易であるため、複雑な形状の設備に対応しやすい加工です。常温での施工が行われます。
2. 加工の流れ
FRPライニングは、主に下記のような流れで進められます。
- 表面の準備: 表面の清掃を行った後、接着性向上の為サンドブラストやグラインダーで表面を荒く加工する。
- プライマー (下地) 塗布
- ガラス繊維など繊維シートの配置: 適切な寸法にカットした繊維シートをプライマーを塗布した母材表面に敷く。
- 樹脂の塗布: ガラス繊維の上に樹脂 (ポリエステル、ビニルエステル、エポキシなど) を均一に塗布し、ローラーやブラシで浸透させる。
- 気泡の除去 (エア抜きローラー等を使用)
- 繊維シートと樹脂の積層を繰り返す。
- 最終層を積層後、表面を平滑に仕上げる。
- 適切な温度と湿度下において、樹脂を硬化させる。
FRPライニングの種類
FRPライニングで使用される樹脂の種類にはポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フレーク樹脂、
フラン樹脂などがあります。それぞれの樹脂に特性があり、例えば、ポリエステルは酸化性の酸や溶剤、アルカリに弱いものの、硬化の速さに優れています。また、フラン樹脂は、鉄板、コンクリート等の被施工体にも施工可能です。
また、用いられる強化繊維の種類には、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などがあります。カーボン繊維は、非常に高い強度と剛性を持ち、ガラス繊維よりも優れた機械的特性を有していることが特徴です。
これらの材質は、被加工物が使用される場所の環境 (温度、使用されている化学薬品など) に合わせて、適切なものが使用されます。